内臓〔ちょっとだけ、閲覧注意〕


※ ちょっとだけ生々しい表現がございます。

  閲覧は自己責任でよろしくお願いいたします<(_ _)>。


胃を切除してしまうと、食道がだんだん胃っぽく働き出す。
腸を切ってもそう。
こないだ知り合いは、胆のうを弄ったが、ひと山ふた山乗り越えれば、腸とかが役割を肩代わりし始めるらしい。

内臓たちの連携を、ちょっと羨ましく見下ろす。
僕はいつも一人だ。
すべてを司るといわれながら、僕は意外と誰とも連携してない。
だから僕だけ死んでも、意外と体は生きてられる。
脳死っていうらしい。

人間が死ぬとき、もうひとつの判断基準がある。
心臓。
胸の中心のやや左にあるそれが止まると、体に温血が回らなくなって、温血に乗った酸素が回らなくなって、人間は死ぬ。
昔は心臓の死が人の死だった。
今は心臓が動いていても、僕が死んだら死んだと認められる。
自動機械が心臓の鼓動を与え続けるから、肉体だけでも生存できるわけだ。
心臓の鼓動が止まるのに、機械を
取り付けないと、酸素足りなくなって肉体が死ぬ。
僕とかは溶けて鼻や耳から流れ出す。
臓器なんかも腐り出し、甘い匂いを放つらしい。
蠅やなんかいれば、卵産みつけて蛆が孵る。
死体はものすごいごちそうだから、さまざまなバクテリアが分解してしまう。

酸素。
酸素がなければ体は維持できない。
送り出す臓器の名は心臓。
人は呼吸で生きるけど、呼吸が命をつなぐわけじゃない。
すべては血流。
その大元は心臓だ。

だからかれも止まれない。
そして僕も。
だから友だちになれるかなと思ったんだけど、無理そうだ。
かれは四六時中、脈動し続けてなきゃならないから。
ロード・ダンセイニの神話詩『ペガーナの神々』に出てくる太鼓の神みたいのが、リズミカルに励ましてないと続かない。
朝も昼も夜も。
夜半にも。
ずーっとずーっと脈動し続けてなきゃならないのだ。
ちょっとリズムが変わるだけで、人間の体調は、ころっと変わってしまうから。
だから話しかけることさえはばかられてしまう。
僕は孤独だ。

私たちがいるじゃないですか。
神経シナプスがピカピカする。

私たちもいますよ。
温血で酸素を運ぶ動脈が、不要物を運び出す静脈と一緒に言う。

でもおまえらって臓器じゃないだろ?
僕は臓器と友だちにな


バシュッ!


瘤が弾けたみた…い…だ…


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それでも地球は回っている