ある人生とダイエット①
断食道場体験記
今でこそ、やらせや仕込みはいけないと“言い切られて”いますが、その一方で、セミドキュメントやリアリティ番組という手法もあるわけで…
きっかけ
その話が来たとき、私は28才でした。
失恋の痛手が癒えきらず、暴飲暴食、仕事もせず、たらたら暮らした158cm56kg。
このころの私は本気で、身長-110を信じていたので、何がなんでも48kgにならねばならぬと思い込んで必死でした。
(今は違うと知っています。100、もしくはせいぜい105を引けばいい。
そう。
当時の私はダイエットなど必要なかったのです!)
テレビのライターをしていたので、若干でも業界には縁がある。
ある番組で有名女優を頭に、5-6人で励ましあうダイエット番組を作ろうということになり、ところがその5-6人が集まりきりません。
(ナゼだ)
番組の構成ライターが友達だったので、人集めに駆り出されてしまったのを幸いに、50キロ切ってみようじゃなァイと、軽い気持ちで参加したのです。
どんな場所?
伊豆の山中の断食道場でした。
(今はもうありません。
似たようなところはありますが、確認したら別モノでした)
まだ“ファスティング”などという、カッコイイ言葉がない頃です。
断食のイメージは修行。
しかも立地が伊豆の山奥、名称は“道場”。
さすがにちょっとビビりました。
が、行ってみると医療体制バッチリだし、健康体操は教えてくれるは、吸い玉や鍼といった東洋医学風エステも受け放題だは…
素晴らしい場所でした。
メンツは
冠はかなり有名な女優さん。
気さくなキャラで売っていましたが、蓋をあければお取り巻きあっての女王様で、持ち上げないとヤバい雰囲気でしたが、私はあくまでライターです。
女優を動かす側ですよ?←うっかり大きく出てしまってる!
取り立ててへりくだりはしなかった。
そしたらもう…アナタ…
気楽なダイエット断食ツアーはその水面下においては、
女優VS駆け出しライターの、
壮絶極まる過酷なバトル場となってしまったのです。
とはいえ今回のメインテーマはあくまでダイエット。
本筋に戻りましょう(笑)
改めて
メンツは
女王様、
他メンバーは彼女の義理の娘ちゃん、
彼女のお取り巻きお二人、
私と同様構成ライターの依頼で入った、私より、少し年かさのお姉さん。
彼女だけが素人さんでした。
私に巻き込まれないよう、彼女には常に向こう側についてもらいました。
どんなコース、どんなメニュー
日程は七日間。
断食は、ストンと食事を断ち、
断った日数と同じ日数かけて、
おもゆ、
一分粥、
三分粥、
と食事を戻していきます。
まれに断食反応といって、気分が悪くなったりもあるので、個人で簡単にやるのは絶対おすすめしません。
実際三日を超えるファスティングは医師の立ち会いなしに行ってはいけないのですよ。
私たちの行ったところは健康管理も含めた断食道場だったので、医師もアドバイザーもたくさんいました。
それでもお取り巻きさんの一人が二日目に、断食反応を起こしてしまい、あわや撮影中止になるところでした。
食事の時間がなくなると
生活はどう変わる?
作って食べて片付けて。
この三つのことがないだけで、一食について約二時間、三食で約六時間一日に時間が空きます。
私たちは読書したり、散歩したり、ちょっとした健康体操を行ったりしていました。
水分は多めに補給していました。
現在のファスティングでは、野菜ジュース程度はいいことになっているみたいですが、そこでは薬草茶のみOKでした。
鳩麦玄米月見草♪の歌みたいな様々のお茶が出ましたね。
おなかがすいてすいて困ることもそんなになく、三日間は無事推移、いよいよ食の復帰です。
断食はリセット
暴飲暴食をやめるためのきっかけ
四日目。
おもゆから、復帰食が始まりました。
三分粥、五分粥、普通食を食べられる新鮮な喜び。
70キロ超の方が2キロ落ちてた以外は、参加者は総じて0.5キロから1キロの減でした。
通常ダイエットは、年3キロ落とすのが一番理想的。
リバウンドもしにくいのだそうです。
ダイエットとしては大したことはないように見えるかもしれませんが、食を断つ間に食習慣の見直しが出来たようで、半年後の私はそこからちゃんと落ち、私はジャスト50kgまで行きました。
達成感の罠
めでたしめでたしに見えるでしょう?
違います。
ここからが悪夢の始まりです。
50kgを達成したことで、私の中に芽生えたのは驕りでした。
太めの方を見て、
あのくらい簡単に落とせるのに
と思ったり、鏡の中の自分を見ては、
これよねー
とうっとりしたり。
そんな自分に酔いしれていられたのもほんのつかの間、生活時間不規則なライター生活は、私に過食と不摂生を与えました。
半年経たないうちに私は72kgになっていて、
その衝撃で私は体重計に乗るのをやめました。
人を蔑んだ気持ちが
自分をも襲う
人様に思ったことが、今度は自分を襲います。
太めの方を見て、
あのくらい簡単に落とせるのに
と思った自分は今、鏡の中の自分を見て、
人間じゃないよねー
と思うしかありません。
それでも家の鏡は優しい。
大丈夫だよ。
ちょっと外出してきなよ♡
そうだね。
お言葉に従って、外出すると、町場の鏡やショウウィンドウが、容赦ない視線を浴びせてきます。
何あんた人間?
なんか違う生き物じゃないの?
よく平気で表歩いてるわねえ……
実はこのころの記憶が、今の私には全くありません。
どこかで線が引けて、58kgに戻ったのは4年後でした。
全く思い出せなくなるほどの日々。
そして2kg増の決着。
それが私の初ダイエットのてんまつでした。