コロナ禍下の世界は、なんだか少年マガジン版デビルマンの世界そのままだと思いませんか?
罹患者やその周辺の方を叩くとか、やっぱり絶対あり得ない、許してはいけないです。
という意味を込めて、デビルマンオマージュ作であります。
カウム
カウム
と、命名されたそれは、最初胸許にコウモリのような痣を浮き上がらせる。
瞬く間に全身に広がって、人はカウムになってしまうが、まれにカウムになりきらない者が現れる。
カウムにならなかった人間は、カウムの強靱なパワーと、人間の心を併せ持つことができる。
カウムの世界の恐ろしさを友人から聞かされた俺は、彼とともにカウムパーソンになった。
人間をカウムから守りたい一心だったが、実は友人こそがカウムを俺たちにもたらした張本人だったのだ。
彼が言うには、カウムはもともと地球を支配していた存在で、人類が現れたために片隅に追いやられた者だったと。
ほんとかどうかはわからない。
友人は、俺がカウムに肉体を乗っ取られかけたときの映像を、テレビ局に売って去った。
これがカウム感染です!
と題されて流された映像のおかげで、俺を預かってくれていた一家のおじさんやおばさんは、カウム研究所へ連れて行かれてしまった。
俺は同じカウムパーソンの仲間~カウムが無差別に人類を襲いはじめたことで、カウムパーソンもまた格段に増えていたのだ。俺はその頃それらを組織し指揮する立場になっていた~とともに、おじさんたちを助けに行ったが、時すでに遅く、おじさんたちは殺されてしまっていた。
研究材料にされたのだ。
しかも研究員たちは俺に命乞いした。
俺たちはカウムは殺してない。
あいつらはただの人間だった。
あんたらの仲間は殺してないんだ!!
激怒したとも。
だって俺は、
“こいつらを守るためにカルムになった”
んだぜ。
“こいつらを”。
“守るために”。
俺はカルムパーソンだ。
だけど心は人間だ。
おまえらは、
未罹患のまま、
カルムそのものになったんだぞ!!
もうなにもない。 何も。
いやある。
△△。
おじさんとおばさんの残してくれた、優しい、うつくしい娘…
お前さえいてくれたら…俺は!!
でも遅かった。
おじさんの家は焼かれていた。
カルムの家は焼き尽くせ。
近所の人々がやったのだ。
俺にはもう
本当に
なにもなくなってしまった…
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