人柱の記者⑦人柱からの生還4


頭から読まれるかたのために↓


前段↓



添付されていた資料にはこうあった。

タコ部屋労働の果ての死者が、弔われることもなく労働の場所に密かに埋められることも、広義に人柱と呼ばれていたようだ。
これは工事中、公にできる労働者が事故死した場合の、慰霊と鎮魂の思いの込められた人柱呼びとは明らかに一線を画すものである。
公の事故死者には、哀悼も慰労金もある。
だがタコ部屋労働者として連れてこられた者の死は、明らかにされず、埋葬もされず、ただただ現場に土饅頭が増えるだけである。
悼む者どころか知る者もいない。

インタビューは続いていた。

ならあなたはどうして生き延びられたのですか?

儂が死ぬ前に工事が終わったからだよ。
でも給金をもらう前に、儂等は使っとった鶴嘴でやられた。
からだをボコボコに、穴だらけにされたんだ。
みんな死んだら金はいらねえ。
合理的な考えちゅうもんだ。

え?

鶴嘴で何度も貫かれて、生きてられる人間がいるのか?

おるわけねえが。

なにこのテープ。
あたしの疑念に答、えて、る?

と振り向くと、テープはとうに端に来ていた。

じゃあ、今の声は?



続きは

で。

それでも地球は回っている