あんたの人生がドラマになるなんてね

まー生き延びたわね

大好きだったあなたのことを

いつの間にか大嫌いになってた

いつからだろう


最初に見初めたのは日テレ

お笑いスター誕生

ギョーカイ人のずるさで

アドバイザー買って出て、

ネタもいくつか提供した

お笑いスタ誕の収録後、出待ちは黒山の人だかり

その中から、私を見つけて『向こうから』『あなたのほうから』くる姿

不思議そうに見守るファンたちの視線にちょっとうぬぼれる

見ながら走り書きした感想を渡し、一言二言アドバイス

ファンを妨げないようにじゃあねと去る

カッコツケ

若かったな私ww


スタ誕決勝戦で使うって言ってたネタを、準決勝で使ったあなたたち

次のネタは?

ありません と、

潔い答えが返ってきたっけ

でもそのネタ、学校の夜回り臆病先生の中で、私はすごいもの見た

怖がりまくって神様仏様!って合掌してたU先生が、相手がNだって気づいた途端に、

合掌を前へ倒し、

手を洗い

ありもしない蛇口を締め、

濡れてもない手をピッピと振って水気を振り切って、

怯えてなかったふりをする

行動の意味のずらし!!!

ああかなわないと思ったんだ…


準々決勝だってすごかった

恋人が何の病気かと問うUに、ドクターのNは

片手を影絵の狐にする

狐お嫌いですか?

もちろんUは面食らうが

Nは気にもせず、狐の手をVサインに変え、Uに示す

兎お嫌いですか?

ああ!!


山田太一とか倉本聰とか、地下鉄恋のもつれやる前に、

あの子らはすでにすごかったのだ

決勝、

恋人の女芸人を待たせていつか迎えにいくU

というネタで、私が忘れられないギャグはこれ

駅のベンチの酔っ払いがプータローと知って、

プータローっていい年になっても働かず、

親のすねかじってブラブラしてる、

あのプータローですか!?

突っ込むUにNは怒るのだ

それ以上言うな

俺だって悩んだんだよ

でも俺、長男だしさ、

家業継がないとさ


価値のずらしの極みがそこにあった


だからかもしれない

千代田線のお千代ちゃんにも不揃いの林檎たちにも乗れないまま

彼らはやるやら、誰やら、になっていった


ドラマに私の位置の人はいないだろう

ネタの打ち合わせをした喫茶店ももうない

パフェを頼むと、花火バチバチなりながら届く店だった


二人とも生き残ってる

それで十分だと思う











それでも地球は回っている