心ないということ
自分の立ち位置に疑問を持たないと起こしがちだと思う事態
戦い〔二次創作弱虫ペダル。金荒の第三子・輝(ひかり)がある教師に立ち向かった日のこと。荒北目線〕
れなちゃん、サナちゃんが知らせてくれて、俺は学校に急いで行った。
輝(ひかり)を傍らに立たせたまま、担任は事務仕事に励んでいた。
俺を見て、あら、とだけ言った。
輝は泣いてない。
青ざめてるけど毅然としてる。
何て言おう。
れなちゃんの言葉が蘇る。
間庭先生がね、言ったの。
お父さんとお母さんがそろってないおうちは、幸せにはなれませんて。
そしたら男子が、輝のトコだーって。
みんなどっと笑ったけど、
瑠奈ちゃんが突然泣き出したの。
瑠奈ちゃんとこ、この夏お父さん亡くなったばっかでさ……
輝が立ったのはその後で、
取り消してください。
と冷静に言って、それからずっと先生をにらみつけているのだそうだ。
うちはいい。
でも男女二親揃わないのはうちに限ったことじゃない。
俺が言う?
輝が決着をつけるか。
どう振る舞うのが親だ…?
躊躇してたとこにそれは起きた。
あとから、あとから、父兄が、子どもが、その上の世代も学校に押し寄せた。
電話は一本も鳴らず、文句あるすべての人が足を運んだ。
思い出した。
崩壊家庭が云々され出してから、50年以上経ってるんだ。
男手一つで、女手一つで育てた親、育った子、わんさかいンだよ。
間庭先生はついに謝罪し、発言を撤回した。
お前は暴れなかったんだな。
ああ。
暴れ損なっちゃった。
暴れたかったのか。
暴れたかった。
けど娘が堪えてるのに、俺が殴ったらまずいっしょ。
口を尖らすやすともがかわいくて、俺は思わず抱き寄せた。
こんなことはきっとまだまだある。
誰も味方に付いてくれないことすらあるはずだ。
そう。
輝はこれからも戦っていくのだ。
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それでも地球は回っている