例えばこれは、邪悪?②
吸盤
巨大な吸盤が
あたしを求めてひくついている
海際の小屋で遊んでたあたしたち六人
いまはもうミリとあたしだけ
ミリを押し出して、あたしは逃げようか
でも奴の足は他にまだ七本あって、どこから飛び出してくるかわからないのだ
力を合わせて逃げきろうねと、見やった真横にミリはいなくて
押し出されたあたしは吸盤にはりついた
ひきずられていくさなか目の隅で、
ミリに別の足がからみつくのを確認する
ザマアミロ
出し抜こうとなんかするからだ
ちびのくせに
ミリのくせに
ザマア、いやだ、死にたくない、死にたくな、
まま…
(7月2日 蛸の日に寄せて書いた小説です)
それでも地球は回っている