おいしい浮世絵展に行ったら、江戸時代の暮らしに嫉妬しかけた
『おいしい浮世絵展』に行ってきました。
大学では芸術学部で、国際浮世絵学会の常任理事をされている藤澤紫先生という方の授業が大好きでした。たまたま取った授業でしたが、本当に楽しかった。もちろん描く方じゃなくて読み解いたり、当時の風俗を研究したりです。
そこで、いかに江戸にくらす人々がいきいきと遊び心あふれる毎日を楽しんでいたか、自然を愛し生活に取り入れていたかを知りました。
今回は「おいしい浮世絵」の名の通り、食べ物にフォーカスした作品が展示されていて、寿司や蕎麦、てんぷらやスイーツなどが描かれたものばかり。
まず驚いたのは、版画でここまでおいしそうに描けるのか!ということ。下手したら写真よりも食欲が刺激されるかもしれません。
また、私が当時浮世絵を学んだ時に小紋染めの柄の意味を研究したこともあり、食べ物ではないけれど描かれている人たちが着ている着物には特に目が惹きつけられました。
みんなめちゃくちゃおしゃれ!!どうやって摺ったんだ…?と思わず考えてしまうほど、複雑でかわいい柄の着物ばかりでした。職業によって着方の差が出るのもおもしろい。
今でも服の着こなしを見て、ああカッチリした職業の人なんだろうな、あの人は派手な生活してそう、個性的だけどなんの仕事してるんだ…?と思うように、当時の人も着こなしできっと想像をしていたのではないかなと思うときゅんでした。
そして並べて見て改めて感じたのは、葛飾北斎や歌川広重などの有名浮世絵師の作品は、やっぱり全然ちがう。
北斎の「漫画図」は本当に可愛くてチャーミングだったし、広重の作品は圧倒的に構図が美しかった。
ダジャレや小物の配置やなぞかけ等々、くすっとなる作品もすごく多くて、昔の人のエンタメの一つだったのだというのがよくわかりました。
「こう生きられたらいいな」が詰まってた
さて、最初は「かわい~~」「すご~~~」と思って見てたんだけど、途中から「うらやまし~~~」という感想に変わっていきました。
なんでかっていうと、浮世絵に描かれている人たちが本当に楽しそうにいきいきと生活していて。
おめかしして重そうな酒樽もってお花見に出かけたりしてるのはもちろんそりゃ楽しそうなんだけど、それだけじゃなくて忙しそうに働いている人や混みあっている魚河岸も全部本当にイキイキしてるんだよね。
食がテーマだったのもあるけど、彼らは「食べたいときに、食べたいものを、食べたい人と、食べたい場所で」楽しんでたんだなって思いました。
食べる行為ってそれだけじゃなくて、前後に必ずストーリーがある。旅の途中・仕事の合間・育児の合間・友人との時間…。
一瞬を切り取った浮世絵で、そんな前後のあわただしくも楽しそうなストーリーが想像できちゃうような作品ばかりでした。
そして思った。現代人、忙しすぎない!?
仕事を辞めたタイミングでこれを見ることができたのは、自分の選択が間違ってなかったと思える一つの要因になりました。私は選べるようになったんだもんね。
朝行くことを決め、平日の空いてる電車にのり、空いている時間に展示をゆっくり見ることができる。最高です。仕事辞めてよかった~~~~!!と思いました。
江戸時代から始まり今でも麻布十番に軒を連ねているお蕎麦屋さんを浮世絵展で知り、そこに行こうと気軽に決めたりね。
都内は全然土地勘がないから、めちゃくちゃ近いけどタクシー乗ってお店に向かいました。
真っ白でつやつやの更科蕎麦!!!!
自分のわくわくとか遊びごころとか、食べたいものを楽しむこととか。そういうのを大切にしたいなと思える一日になりました。
ちなみに休養中に体力がびっくりするほどがた落ちしたので楽しすぎて疲れて、帰りの電車で爆睡かましました。気づいたら海老名だった。
家帰ってもぐったりで、散歩から始めようと反省。あとはつわりだけ。そろそろ落ち着くころだと思うからHPの枠増やしたいです。