第182回:「人生を変えた1冊」に出会ったことがある人に伝えたい物語!(住野よる:『腹を割ったら血が出るだけさ』)
こんにちは、あみのです!
今回の本は、住野よるさんの『腹を割ったら血が出るだけさ』という作品です。
高校生の頃から大好きな住野さんの最新作。住野さんの作品はどの作品もストーリーに新しさを感じることはもちろん、ちょっとスパイスの効いたような独特の表現も好きで、新作が出るたびにどんなお話なのかわくわくしてしまいますね。
あらすじ
感想
小説『少女のマーチ』に感化され、小説の主人公と自分を重ねた日常を送る茜寧。私も本を読んで登場人物を自分や身近な人に例えることが多いので、茜寧の読書の仕方には非常に共感しました。
『少女のマーチ』を何度も読むうちに、茜寧の中には自分なりの『少女のマーチ』像ができていきます。そんな中で知り合った逢という人物は、茜寧がイメージする小説のキャラクターと驚くほどよく似ていました。
今作では『少女のマーチ』を軸に、様々な人物の「物語」が描かれます。複数の人物が日常で紡ぐ物語は、やがて茜寧の人生を変える出来事につながっていきます。
私が今作を読んで強く感じたのは、物語は読み手の数だけ異なる見え方があるということです。『少女のマーチ』というひとつの小説でも、茜寧と逢では読んでまったく違う物語への感じ方をしていました。
そういう経験は私にもあって、単行本時に読んだ作品が文庫化した際にカバーイラストが変更されていた時とか、ネットのレビューと私の感想が大きく異なっていた時とかまさにそれだなと思いました。作中でも触れていた映像化した際の配役が自分のイメージと違うという現象にも共感できますね!
また今作はいろんな人物の視点で描かれるところも特徴のひとつですが、正直今回読んだ時には立場がいまいちわからない(と個人的に感じた)人物も何人かいました。
私は今作の主人公は茜寧なのかなと思い込んで読んでいましたが、登場人物それぞれに人生があるということは、別の人物が視点の時はその人物が「主人公」でもあるということを感じた表現が作中にてありました。
読み返すことで他の「主人公」の気持ち・行動がつかめるかもしれない。そんな面白さも今作にはあるんだろうなぁと思い、いつか再読してみたくなりました。
漫画とか映像とかいろんな形で「物語」は楽しめますが、0の状態から自分でイメージをして楽しむ物語は小説ならではだと思います。読み手の「想像」にフォーカスした小説の面白さに改めて気付くことができた良作でした!
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作家がどんな気持ちで作品を書いているのかは人によって異なると思います。だけど、どんな思いで書いた1冊であっても読者にとって宝物のような1冊になれたとしたら、その物語を書いた作家さんはとても幸せな気持ちになるんだろうなと思いました。
今作に限らず、これまでに読んだ本で私の宝物になった本はたくさんあります。宝物になった本の感想をファンレターやnoteを通して伝えたところ、実際に作家さん自信が反応してくれたことも少なからずありました。作家さんからの温かなリアクションを通して、もっとこの作家さんを応援したい、もっとたくさんの本が読みたいと読書が更に好きになりました。
これからも私のnote記事を読んでいる皆さんに、好きな本の良さを言葉で伝えることを続けていきたいです。