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同人誌「あーみんゴッコ」座談会・未公開トーク(後編)

2023年夏、「田中圭一プロデュース!前川さなえ責任編集!マンガ界の超あーみんファンたちが情熱のすべてを注いだファンブック」である「あーみんゴッコ」(通販はこちらから)が頒布され、その中の1コーナーとして連載時からあーみん先生のファンを続けている4人による座談会ページが設けられました。

実は誌面に収録されたのは、喋ってた内容のごく一部……。まったく収まりきっていなかったのです。……という訳で! せっかくなので、こちらにドーンと公開した前編がこちら。(内容は若干収録分も含まれています)

そして今回は、そのつづきの後編です!
さあどうぞ! ピューーー!!(指笛)


田中●『お父さんは心配症』はドラマ化されたじゃないですか? あの作品はファンのみなさんはどう見てたんですか? 

さくらい●私の地元では放送されなかったんです……。 

前川●え~っ! そうだったんですか! 

おかん●え? やってなかったんですか? 

さくらい●島根ではやってませんでした。 

前川●じゃ、見られてない? 

さくらい●未だに見られてないんですよ。「原作と違う」っていうのは、散々色んなところで読んで、ストーリーとかもTV情報誌で読んでチェックしてて、違うってことも把握してるんだけれど、実際のドラマは知らないんです。見られてない。 

田中●時代的にはビデオデッキとか普及してた頃だろうし、放送エリアの友達に録ってもらって見るってできなかったの? 

さくらい●それはできなかったですね。 

田中●興味としてはどうだったんですか? 絶対に見たいとか思わなかった? 実写ドラマだし、原作と違うからいいか? みたいな感じ? 

さくらい●違うみたいだし、無理に見なくてもいいかなって。 

同人A●すごい「えっ?」って思ったことだけ覚えてる。え? 大地康雄? えっ? ってなった(笑)。今なら映像の技術がすごく上がっているから、『ルナティック』とかをCGゴリゴリでやったら面白いなぁとよく想像してます。 

おかん●それはいいね! 

同人A●ルイのコンサートだけでも! 

おかん●見たい! コンサート見たいね~! 

田中●意外と同人誌で盛り上がったら、それを受けてテレビ局が「ドラマ化しようかな?」ってのがあるかも知れませんね。 

同人A●そうなってくれたら嬉しいですね!

おかん●ルイ、応援上映をしてはしい! 

さくらい●でもアニメならいいけど、実写だと誰がやる? っていうのと、あんなのできるわけがないっていうのはある。ちゃんと再現されるなら見たいけど。 

同人A●深夜の5分枠のアニメでいいからやってほしい。 

田中●アニメで盛り上がると、また若い人たちが入ってくる可能性があるから。 でもアニメの監督を任される人って大変ですよ、コレ。 

一同●(笑) 

おかん●あーみん先生の絵って、アニメは難しそう。 

田中●あーみん先生は大ファンが多いから、なんかちょっと変えてしまったらマズいでしょうね。キャラの設定変えたり。 

さくらい●細かい所の感覚が違うと、結構気になってくるから。 

同人A●オリジナルキャラとか出ちゃったら、怒っちゃうよね。えぇ~ッ! って。 

田中●せっかくやるんだったら、出来ればリアルタイムのゴリゴリのファンで、今もファンだって人が監督をやってくれないと。 

前川●『心配症』のドラマは、安井さんを美保純さんが演じられてて、それが原作イメージと全然違うじゃないですか。それを言ったらお父さんも全然違うんですが。安井さんって清楚なイメージなんですけれど、美保純さんはにっかつロマンポルノから出てこられた女優さんだし。私がところどころで覚えてるシーンでは、安井さんがそんなに家事ができなくて、お父さんが「はい、ダメ~!」みたいな指導をするくだりが。 

同人A●解釈が違いますね。 

前川●オリキャラの妹(奈々)がいたりね。 

さくらい●きーちゃん(有田気恵)。 

前川●『あっぱれさんま大先生』に出てた。 

田中●オリキャラは論外ですよね。 

同人A●やめて欲しい。 

田中●元々のキャラをアレンジするのも嫌なのに、原作にいないキャラを持ってこられたら、全部のバランスが崩れてしまいますからね。そうなるとドラマ化もアニメ化もハードルが高いんでしょうね。おそらくはアニメ化も何度か企画が上がってるはずなんですよ。これだけ熱狂的なファンもいるし、当然『ちびまる子ちゃん』が大ヒットしてて、当時の「りぼん」はばんばんアニメ化されてたじゃないですか。だから何かしらの事情があって、実現しなかったんでしょうね。『マサルさん』もアニメになったし、あの時代を考えるとやってても不思議じゃなかったよね。 

前川●『稲中』は深夜アニメになってますよね。 

田中●ありましたね。深夜枠ならいけそうだし、OVAにもなってない、ドラマにもなってない。お芝居にはなってないのかな? まぁお芝居の題材にするのも難しいのかな? 

同人A●ヅカ(宝塚)がやってくれないかなっていうのは、ちょこちょこ話してますね。ヅカの雰囲気で愛咲ルイを! 

おかん●ルイを見たいだけじゃないですか(笑)

前川●確かに見たい! 

同人A●『ルナティック』だったらヅカはいけるんじゃない? 『こいつら』もやってとは言わないけれど。 

さくらい●いける、いける。あの「屋上コンサート」をリアルに。 

おかん●見たい! 

同人A●最近の宝塚は結構アニメを演ってますしね。、アニメ以外でも『HiGH & LOW』も演ってたし、ふところが深いですよ。

田中●やっぱり作者のOKが出ないのかね。 

前川●そこが一番難しそう。  

同人A●特別展の時に色んな先生たちが、コメントで寄稿されてたんですけれど、それにもあーみん先生のものはなかったですし。 グッズの許諾だけでした。 

さくらい●でも少しでもグッズが出たのには感動した。そんなことって今まで一切なかったから。 

同人A●『ルナティック』の文庫もそのうち出たらいいな。そこまでいけたら最高だなって思います。

前川●そういえばお二人(さくらいとおかん)は「りぼん展」(2019年に開催された「特別展 りぼん 250万りぼんっ子 大増刊号」)限定の愛咲ルイTシャツですよね。

同人A●私、すっかり忘れてて丸腰で来ちゃいました(笑)。 

おかん●「丸腰」(笑)。 

同人A●悔しい~! 

さくらい●そう、このTシャツ、即日完売だったんですよ。 

田中●え~っ! 即日完売だったんですか? 

同人A●初日にね。 

前川●みんな即日完売なのすごくないですか? 

さくらい●即日完売で、高島屋の店員さんが「愛咲ルイT、こっちの列です!」って言いつつプラカード持って『ルナティック』の制服屋のスポンサーみたいな感じに高島屋の店員さんが案内していて、リアルにマンガの展開を実際にやってる! ってなりました。 

前川●「なんでコレが売れてるんだ?」みたいな感じで(笑)。 

田中●しかも、それ何色使ってるのって感じですよね。 

前川●グッズでこんなに色数使わないですよね。売れる確信があったんですかね? 

田中●こだわりがあったんでしょうね。ひょっとしたらTシャツを作った人もファンだったとか。 

前川●確かにファンじゃないと、このシーンを選ばないと思う。 

同人A●最初、イベントですぐ完売しちゃって、数日後に再生産で追加されて、それもすぐに完売して。しばらく経ってからネットで再受注してて、私はネットで買い足しました。 

おかん●あ~、買い足したんだ(笑)。 

同人A●「これは買い足しておかないと」って(笑)。 

前川●買い足しておかないと!?  

同人A●予備を持っていないと、何があるのかわかんないしね。 

前川●こんなん、なんぼあってもいいですからね。

同人A●「りぼん展」にはグッズも色々ありましたね。 複製原画とか。 

田中●それは「りぼん」に絞ったイベントだったんですか? 

前川●あーみん先生だけじゃなく、「りぼん展」として掲載作家さんたちの作品を集めたイベントでした。 

さくらい●今回改めて『ルナティック』を読み返した時に、面白くてビックリしました。久々に読み返して「こんなに面白かったっけ?」って。知ってたんだけど、面白いのは。

同人A●『ルナティック』は、特にワードセンスが素晴らしいよね。ルイのオリジナルソングの歌詞の秀逸!

さくらい●それと、ストーリーがすごくちゃんとしてて…… 

同人A●そうだね、恋愛モノとして成立してる。 

前川●えっ、ストーリーちゃんとしてますか(笑)?

さくらい●えっ、ちゃんとしてませんか!? 3つの中では!

おかん●3作品の中では一番ちゃんとしてる(笑)。ストーリーがちゃんとある。 

前川●通して何かをやろうとしているのは感じるかも(笑)。 

同人A●最後にちゃんと留学してたりね。 

さくらい●ちゃんと人間関係に深みがあるなって。 

前川●行き当たりばったりじゃない感じがあるのかな。 

前川●『ルナティック』の終わり頃で何年くらいですか? 

さくらい●連載は94年から95年頃までですね。最後の読み切りが97年か。

前川●最後の方は「正統派少女漫画」を描きたそうな感じがあるけど、なんかセンスが追いつかなくなってる感があって、噛みつくときの「ガブ」のシーンの歯の描き方、ツヤの描き方だとか(新装版『ルナティック雑技団』3巻P216)、古臭いギャグとしてで意図して描こうとしてるというより、素で描いていても、当時でもちょっと古いなって感じで、ついていけてないって葛藤があったのかな? って思うんです。 

田中●ちょうどあの頃って「ギャグマンガの変革期」で、新しく出てきた「不条理モノ」とそれまでの「ドタバタ・スラップスティック」の時代とのグラデーションの時代なんですよね。それは私もその当時、非常に苦しんでたんですよ。 

前川●そうなんですね! 

田中●それで手塚先生の絵にシフトしたって経緯があったので、あーみん先生が苦しんでいるのもすごくわかりますね。 

さくらい●読み切り短編の「花のいたづら」ってすごく丁寧に描かれてるんですが、時期的には『こいつら』の連載中なんですよね。 

同人A●きっと正統派の物語もやりたかったんだよね。 

前川●微妙にデフォルメで描こうとすると、どうしても古さが出ちゃう。 

田中●僕より3歳位下の人だから、その頃だとあーみん先生も30代でしょ。どうしても絵柄が古くなっちゃうのは仕方がないんですよ。 

同人A●ご本人がすごく頭のいい方なんだなっていうのを、色々読んでてすごく感じます。いろいろ考えてるだろうなって。ちゃんと文章寄せてくださった最後の最後が『心配症』の文庫版あとがきなんですよね。

前川●それが仕事として最後になる? 

同人A●最後なんですよ。文庫版のあとがきが。これも文章としてすごく面白かったです。これが最後で寂しいね。 

おかん●寂しい。文章ってのがねぇ。 

前川●絵は描かないんだなって。たまに漫画家さんで、あとがきも漫画で描かれる方いますもんね。 

同人A●もう私の中で「百恵ちゃん(山口百恵)」みたいな存在ですよ(笑)。 

前川●確かに「私たちの百恵ちゃん」みたいな感じですよね(笑)。 

同人A●「伝説」になってますからね。

田中●山口百恵さんも引退されてから、一切メディアの前には出てませんからね。 

同人A●そうですね。それも含めてちょっといいなって思ってます。 

前川●出てきてほしいってファンが言ってる中で出てこないのがいい……というジレンマが。 

同人A●カッコいいけど複雑ですよね(笑)。なんらかの作品は見たいですけれど。 

同人A●『あーみんの好き放題劇場』が好きな人も多いよね。あの頃の小学生が熱中した怪談話とか、そういうのをトピックスに上げてくれてるのがすごく良い。今読んでも「あぁ、そうそう!」って。時代感がよく出てる。 

おかん●エッセイ漫画とかって、作者の人となりが見えるのがすごく好きだから、〆切ギリギリなのに家で『いいとも!』を見ていて「ヤベェ……」ってなってるお話とかめっちゃ好きで。 

前川●もし復帰されるような事があったら、新作のギャグマンガじゃなくていいから、エッセイ漫画を描いてほしい。 

おかん●ねっ! 短いので良いから。 

前川●むしろ三作品で長編はいいから、日常を描いたりするエッセイ漫画を読みたいって思ってるんですよ。 

同人A●見開き2Pとかでいいよね。 

前川●そう、そう。 

おかん●いい、いい。それでいい! 

前川●『好き放題劇場』で、「『心配症』のキャラクターの中で一番おかしいのは、こんな変態マンガで最後までまともだった典子」というくだりがあって、それを言うなら本当にひとコマ残らずまともだったのは、丸閥三角さん(『お父さんは心配症』第32話)だったかなと。 

同人A●おぉ、確かに! 

前川●ずっとまともだった。周囲に流されなかった。ずっと正気を保っていた。 

同人A●なるほど! キザを貫いていましたね(笑)。 

前川●『こいつら』の貴佐光とキャラは似てそうなのに、貴佐光はギャグに走るし。 

同人A●散々やられてましたしね。丸閥三角は完全なヒールでしたね。 

前川●そう。まともな存在である丸閥さんに殴られた傷は北野にずっと残っているのに、その後、パピィに刺されたのは1コマで治るっていうね。 

おかん●不思議。 

同人A●不思議ですよね(笑)。 

さくらい●『心配症』は前半テンポがゆっくりで、4巻ぐらいからすごいサクサクとテンポが上がってくる感じですよね。 

おかん●どのコマ見てもいいですよね。 

同人A●あーみんファンだって言うと、「絵が下手じゃないか」って言われることがあるんです。私は絵を描く人ではないのであまり詳しいことはわからないんですけど、内心では「いや、いい絵じゃん!」って思ってます。 

おかん●うん、いい絵だよ。 

同人A●いい絵だし、このスピード感ってなかなか出せないんじゃないのかな~って思ったりするんです。 

おかん●これが整った絵だとスピード感が変わるかもしれない。 

同人A●それだから「いい」と感じるのかな? 下手と言われるとちょっと「ムッ」とするんだけど、反論はできないみたいな感じが(笑)。 

前川●私はめちゃくちゃ絵が上手いと思うんですけど、多分ちゃんと描き方を勉強していない絵なのかなという印象は受けるかも。だから、顔だけをきっちり描いていたり、顔は描くのが楽しいからいくらでも描けるんだけど、全身だったり動きのある絵だと崩れちゃったりする……。それが好きだし、それがいいんですけど。

さくらい●足とかすごいですよね(笑)。 

おかん●やっぱ、この絵じゃないと、このスピード感は出ないよね。 

同人A●すごいよねスピード感。バレンタインの回(『お父さんは心配症』第31話)なんて特に。 

前川●そう、バレンタインの回はすっごい!

同人A●あの回めちゃくちゃ気合い入ってますよね。

前川●書き込みすごいですよね。

おかん●人もいっぱい出るし。

前川●チョコもらった子たちはちゃんとかわいい顔してるんですよね、男の子ね。

さくらい●あの回に出てくる山上さんも好きです。山上礼子。

前川●「バッキャロー ヤキ入れっぞ」の人。

同人A●(コミックめくりつつ)この効果音の「パミコォォォン」とかも(笑)! もうね、擬音が!

前川●『ジョジョ(の奇妙な冒険)』と張るぐらい音が面白いのかもしれない。

同人A●この縄を持って追いかけてくる人の集中線の書き込みもすごい。このページ(『お父さんは心配症』りぼんマスコットコミックス4巻P58)、すごくないですか!? すごい気合い入ってる。

おかん●まるでアクション映画だよね。 

同人A●あーみん先生、映画好きだからね。 

おかん●その辺の影響かな。 

同人A●この回は映画だよね。完全にマッドマックス。

前川●「なんでこんな思いでくわなきゃなんないんだ」(『お父さんは心配症』りぼんマスコットコミックス4巻P59)っていうのもすごい好き。ほんとだよな、って思う。

同人A●ほんとですよね(笑)。

前川●そういう視点で見ると、ちゃんと絵が上手いんですよね。スピード感のある絵が描ける人は上手いですよ。 

同人A●そうですよね。今度からはそれで反論しよう(笑)。 

前川●『ルナティック』で、飛び出していった夢実がドンッ! ってルイにぶつかるシーン(「ルナティック雑技団」りぼんマスコットコミックス3巻P48)があって、それが全身ブチ抜きでかっこよく描いてあって。 

同人A●そんなのも描けるんですよね。ギャグ絵じゃないから、薫子が失禁するシーン(「ルナティック雑技団」りぼんマスコットコミックス1巻P51)とかもすごい絵面になる。 

一同●「ジョ~~ッ」 

同人A●あれ、すごいリアル感あるよね。 

さくらい●そう、すごいリアル。 

前川●下からの構図で描かれていたからね(笑)。 

同人A●あんなコマ、他にある? って。 

前川●失禁描くなよ「りぼん」で(笑)。 

同人A●失禁をこの頭身で。 

おかん●でも失禁外せないからな(笑)。



まだまだ話足りないなァ……まだ30分程度しか経ってなくないか? と思っていたのに、なんとレンタルスペースの制限時間がきてしまった。

えっ、もう2時間!!???!?

ひーー!! 時間泥棒さん出てらっしゃ~~い
そーら出ておいで~~~ ……である。

そんなこんなで、同人誌の誌面にまったく収まりきらなかった分をここに公開してみました。つまりはここに公開されてない分は、この同人誌に収まってるのです。それ以外にマンガやパロディ広告も盛りだくさん!
騙されたと思ってこちらもぜひお楽しみください〜〜(ほんとに騙されますよ)

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