【毎週ショートショートnote】真夜中万華鏡
深夜2時。
俺は頭を抱えていた。
(アレを超えるアレがどうしても生まれない…)
朝の9時までには、できあがった音源を提出しなければならない。
だがどうも、音が降りてきてくれないのだ。
(こういうときは、どうすればいいのか)
俺は目を閉じ、腕組みをして考えた。
…。
気がつくと、窓の外は明るかった。
どうやらそのまま寝ていたらしい。
さて、どうしたものか。
目の前の譜面には、一匹たりともオタマジャクシが出現してくれていない。
時刻は7時を回ろうとしていた。
俺はおもむろに窓を開けて、外を見た。
その眩しさに、思わず目を閉じた。
瞼の裏に光の粒が規則正しく並んだ。
キレイ…。
まるで万華鏡のようだ。
真夜中を越えたからこそ見えた、煌びやかな世界。
「真夜中万華鏡」
よし、これでいこう。
タイトルが決まった途端、音符の雨粒が大量に降ってきた。
光の粒と相まって、音符たちがまるでダンスのように飛び跳ねる。
モニターに音を打ち込んでいく俺の手指たちも跳ね上がっていく。
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