【毎週ショートショートnote】絶世の美女は何かと苦労が多いの
「整形に興味がある、だけど勇気がない。そんな人にぜひ試してほしい」
そんなうたい文句の自動販売機があるらしい。
深夜12時。
厳格な親の目をかいくぐって、この春大学生になった私は、こみあげる期待感に背中を押されるように、その自動販売機へと急いだ。
「あった」
まるで缶コーヒーや炭酸ジュースのように、テーマの異なった「顔」のサンプルがズラッと並んでいる。
真っ暗闇の中、その自動販売機だけが煌々と輝いている。
その様はまるで奇妙で、ホラー映画の嫌いなカノコなら、早々に逃げ帰るだろう。
私はひとしきり逡巡した後、財布からなけなしの千円を取り出し、お札投入口にお金を吸い込ませた。
ボタンが一斉に青く光る。
私はちょっと間を置いた後、決心したようにボタンをポチッ。
「ガタン!」
取り出し口から「顔」を取り出し、私はまじまじと見つめた。
「よしよし」
私はニンマリしながら、帰路についた。
その手に「うりざね顔」を抱えながら。
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