【毎週ショートショートnote】願わくばワンチャンあるかと思ったのに
(えっ?やるの…)
幹事らしき男性からの提案に、ミキの心は嫌悪感と期待感で一杯になった。
「人数が足りないの!一生のお願いだから~」
同僚のモナから、手を合わせて懇談されると断れない。
大学生の時の手痛い失恋がトラウマで、彼氏はここ数年いたことがない。
死ぬまで華の独身生活を謳歌すると決めた私は今、女性下着メーカーで係長をしている。
なのに、出会ってしまった。
「アタシ、絶対あの人に当たりたくない!そう思わない~?」
化粧も服装も意識高い系のモナから彼のことが出てきた時、私は冷や汗をかいてしまった。
帽子かと思うほどのもっさりヘアーと地味なメガネ、若干猫背気味な中肉中背スタイルが、私のストライクゾーンに見事ハマってしまった。
「それではミキちゃんのゲームのお相手は…」
幹事男子が指さした相手は何と、あの彼だった。
私は内心でガッツポーズをする。も、
彼は半笑いで私を見ているだけ。
私の脳裏から、夢見る結婚生活が綺麗さっぱり砕け散ってしまった。
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