【毎週ショートショートnote】てるてる坊主のラブレター
拝啓、愛しい貴方様。
お目に掛からなくなって、久しい今日この頃。
近頃の私は、貴方に会いたくて会いたくてたまらない。
男らしさ溢れる隆々とした筋肉に覆われた体。
ほとばしる熱いエネルギー。
声高々と叫び続ける声がどこからともなく聞こえてくると、確かに貴方はそこに存在しているのだということが分かって、私は小さい体を一生懸命揺らして喜ぶの。
嗚呼。
愛おしい貴方。
どうして貴方はそんなビジュアルなのに、私のことを魅了してやまないのかしら。
でも、私は貴方と永遠に結ばれることは決してない。
そう、まるでロミオとジュリエットのように。
貴方は私の何倍もの大きい体を揺らしながら、とてつもなく大きい太鼓を打ち鳴らし、そこかしこに電気を散らしては人々を怖がらせてしまう。
そんな貴方を追っ払う為に、私は存在しているの。
でも、私もうダメみたい。
貴方の叩いた太鼓で、首が今にもちぎれそうなんだもの。
でも貴方の為ならば、この命を喜んで差し出すわ。
忘れさせないから。
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