【毎週ショートショートnote】すらいだーの偉大な滑り方
野球部だった僕は、スライダーが得意な投手として一目置かれていた。
俺は意気揚々と、誰よりもスライダーにこだわり、スライダーを練習してきた。
夢は甲子園に出ること。
だがその夢は、肩のケガにより永遠に叶わないものとなってしまった…。
そして10年の月日が経った。
「いやぁ~、今日もいいスベリっぷりだったよ~」
「あ、あざーっす」
某バラエティー番組の神様とも言われるカスPからの二の腕攻撃を苦笑いで受けつつも、俺は内心複雑だった。
漫才コンビ「すらいだー」を結成し、若手7年目ながらあの人気バラエティー番組「ハレーションズ」のひな壇の端に座らせてもらえるまでになった。
本当は正統派漫才コンビとしてテレビに出たかった。
だが相方はそんな俺の心中を察してか、あえて明るい声でこう励ましてくれるのだ。
「俺は全然面白くないけど、お前はスベるからこそ面白いんだよ。それこそが『すらいだー』だろうが」
そうだな。
すらいだーの偉大なスベリ方を、見せつけてやろうじゃないか。
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