【毎週ショートショートnote】歴史はおとぎ話と同じ立ち位置みたいだ
「ガンリュウジマって知ってる?」
「何それ~、どっかの島?」
「なんか、ミヤモトなんちゃらと何とかコジロウが戦った所だって」
「へぇ~、それって二人共イケメンかな~?」
「ちょっと~、ミヨって男が絡むといつも顔面レベル気にするよね~」
「当たり前じゃん、女はイケメンが好きなんだよ(笑)あっ、イケメンといえばさぁ~」
ここは某ファーストフード店。
素足を思いっきり露出し、目のやり場に困りそうな程短いスカートの女子高生がポテトを口にしながら、イケメンがどーのこーのとくっちゃべっている。
「ハァ~ッ」
コジロウは思わずため息をついた。
あとすんでのところで、巌流島ブームを巻き起こせそうだったのに…。
バニラシェイクをズイーっと吸い、俺は連れのミヤモトを待っていた。
が、待てど暮らせどヤツは中々トイレから戻ってこない。
心配になり、思わず様子を見に行くと、突然体が石のように動かなくなってしまった。
「す、すまん…」
ミヤモトの振り絞るような謝罪と共に、俺たちはブラウン管の中で固まってしまった。
西暦30XX年。
人間たちもお店も、何もかもがデジタル化されている社会で、俺たちのような存在はまだアナログのままらしい。
歴史は電波に追いつかない。
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