【毎週ショートショートnote】涼しくなるなら、スイカのようになってでも
むかーし、むかし。あるところに男と女がおりました。
夏の暑い日のことでした。
男はあまりの暑さに、プールに行こうと切り出してきました。
ところが、女は日焼けが気になるからとその提案を拒絶しました。
「そんなこと言ってたら外なんか出歩けないぜ」
「しょうがないじゃない。アタシの肌、日に当たったら赤くなっちゃうんだから」
しょうがないので、二人は家の縁側に水の入った桶を置き、そこに足を漬けることにしました。
今日は最高気温35度の猛暑日です。
キンキンに冷えた水のおかげで、足から体のほてりが徐々に和らいでいくようで、二人は夢見心地でした。
すると二人の目の前を、スイカ売りの自転車が通り過ぎていきました。
男がポツリと呟きました。
「俺、一瞬スイカになった気がする」
「ハッ?何言ってるの?」
女は、男は暑さのあまりおかしな冗談を言ってるのだと思い、笑って流そうとしたのですが、足元を見て、ギョッとしました。
男と女の指先が、何と緑と黒の縞模様に変わっていってるのです。
しかも、それは徐々に足首にまで広がっているではありませんか。
男の顔はまるでかき氷のブルーハワイのように青くなっていますが、女には心あたりがありました。
(ア〇ゾンでポチった、スイカのように涼しくなる液体っていうのはガチだったんだ…)
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