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kanasiiutage
【毎週ショートショートnote】記憶冷凍
時々、夢を見る。
知らないところに立っていて、指一本動かせられない。
どうやら自分は、カチカチに凍っている状態らしい。
なのにちっとも寒くない。
私はなぜ、こんな状態になっているのか。
だがそう思っている間にも、体は少しずつ硬直していく。
私の心臓が止まるのも、時間の問題。
もしかしてこれは、何かのドッキリではないか。
あのプラカードを期待してみたけど、無理がある。
どうにか眼球だけは動くようで、左右に動かしてみる。
どうやら人はいないみたいだ。
ふと、子ども時代にやった氷鬼を思い出した。
鬼にタッチされそうになると「こおり」といって胸の前で腕をクロスして、自分を守ることができる。
学校の中休みに、同級生とよくやったっけ。
そんな懐かしい気持ちになった途端、無性に悲しくなった。
こんなところで凍っていないで、人間として生きたい。
これからだってずっと、楽しいことをしながら人生を謳歌したい。
だって私は15才からずっと、記憶が凍った女だから。
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