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─『HUSH』

ホラー?スリラー?映画の『HUSH』を見ました。いつも通りとてもネタバレです。

Netflixの独占配信作品。

聾唖の主人公 vs 快楽殺人犯。

舞台は森の中にたたずむ一軒家。一人の男がやって来て、主人公の友人を惨殺。

家への殺人犯の侵入を間一髪で防ぐも、携帯は取られ、外にあるブレーカーを落とされ配線を切られで、助けを求めることができない。

なんとか逃げようと、殺人犯と主人公の攻防が始まる。

劇中では、殺人犯は「音が聞こえない」からと、主人公を舐めまくって、何をするにも音を立てている。
一方の主人公は、音を立てないように最新の注意を払って行動している。

視覚的なことについて言えば、姿を隠すことに気を使っているのも主人公の方だった。

ただ、「音が聞こえない」とは言っても、その分敏感になることもある。

例えば、主人公が下に隠れていたウッドデッキの上で、殺人犯が歩き回っているとき。
殺人犯は音など気にせずどすどす歩く。
一方で、主人公はウッドデッキに手を当て、伝わってくる振動から、殺人犯がどこにいるのかを探る。
まぁこれは普通の人でも分かるかもしれない。

私の母親は目がすごく悪いんだけど、そのかわり(?)耳がとてもいい。目の見えない人が、触覚のみで点字から情報を読み取るのと同じように、他の感覚が冴えるということがあるみたいだ。

逆に、私はよく分からない難聴(症名が分からないのではなく、個人的な感覚として何が聞こえて何が聞こえないのか「よく分からんな~」という感じ)だけど、普通に学校に通い、社会人として働いていたりする。特に何かで補ってるつもりはないけど、例えば、テレビの音声はたいてい全く聞こえない(音は聞こえるけど何喋ってるのか間では分からん)ので、テロップや映像で判断してる。ニュース番組は分かりやすくて、エンタメ系は分かりにくい。

話が逸れた。要するに、耳が聞こえなくてもそれ以外の方法で補うことができるというわけだ。

見えるように表記してこなかったけど、
この映画は 男 vs 女 かつ
      健常者 vs 障害者
という意図的な対比があったと思う。

クライマックス(スリラーでクライマックスとかいうのも変な話だけど)の、
「今まで頑張って粘ったのに残念〜殺しちゃうね〜」というノリで、主人公が音が聞こえないからと、余裕ぶっこいて主人公の背後に構えてる殺人犯と、
前から来るだろうと思われた殺人犯の登場に全神経集中させてる主人公(耳が聞こえない上に、この時点で太腿に大怪我、大量出血で意識朦朧)という対比は見ものだった。

余裕ぶっこいてるから、殺人犯ぺらぺら話すんですよ。
そんなん息が届くに決まってるでしょうよ。
結末はお察しですよね。

音が聞こえないからって弱いわけじゃない。
弱いところがあっても、負けるわけじゃない。

ちなみに、『HUSH』というのは原題で、邦題は『サイレンス』です。

Hushは「しーっ」と人を静かにさせる時に使われる英語ですが、最高に皮肉が効いてるので、原題のままにすれば良かったのに…とつくづく思います(基本的に原題大好き人間なので。)。

おしまい。


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