御手洗潔と石岡くんの会話にしか興味がない私のために
ミステリー小説。元々嫌いじゃなかったんですけど、今年に入りアガサ・クリスティーにハマり、「一昔前のミステリー素敵だなぁ」なんて思ってるとどんどん見たくなり、でもでも積読してた本は購入順に読まないと訳分かんなくなるし、ということで洋物の最新ではないミステリーにハマっていた私が自分のルールに従い読むことにしたのが、島田荘司さんの『御手洗潔の挨拶』。
そもそも積読してちょっと経っているので、これを購入した理由は記憶にございません(政治家風)。今洋物ブームだから、日本が舞台はそんなになぁ、なんて思っていたんですけど。
正直、私は謎解きしないんです。トリックも「ふいーん」て読んでるだけだし、作家の方に文面で挑戦されても考えずにページめくるし。
(アガサ・クリスティーの犯人、当てられたことないし)
でも、登場人物たちがすごく好きなんです。
ポアロのヘイスティングズ然り、ミス・マープルのクラドック警部然り。
今回も傾向的に見ると石岡くんが好きなんですけど、このシリーズに関しては人というより、御手洗潔と石岡くんの会話が好きです。
ということで、どちらかしか登場しない作品は見ない(電話での登場は会話してたらOK)私のために、会話している作品をまとめました。
(あらすじなどでの判断なので、網羅には自信がありません)
『改訂完全版 異邦の騎士』
「この人は私が知っているはずの人なのかな」「誰だろうこの人は」と思いながら、不安を抱えながら読んだ。
もどかしさと切なさと心細さと。
他の作品を色々見たあとで改めて思い出すと、御手洗潔の一生懸命ぶりになんだか感動する。
『占星術殺人事件 改訂完全版』
1980年代を生きる御手洗潔や石岡くんが、戦前の事件について話してる! なんだか近いようで遠い時代背景が妙に良かった。
『御手洗潔の挨拶』
これが二人の会話にハマった初めての作品。これから読み始めた。
石岡くんの語りは本当に面白い。言い方が面白くて、本筋ではないところで吹き出したりしてしまう。石岡くんはかわいい。
『UFO大通り』
理屈に外れたことをする、推理家泣かせの石岡くん。ドジっ子すぎないか?
『傘を折る女』で御手洗潔が石岡くんに思考の誘導しながら解いていくの、よかった。
『御手洗潔のダンス』
見ず知らずの小さな女の子に親切にする御手洗潔。一見誰にも気づかれないような親切だったけど、石岡くんが気づいて、しかも「友人になれてよかった」ってそっと感謝していたけど、こちらこそだよ。ほっこりエピソードをありがとう。
『セントニコラスの、ダイヤモンドの靴』
同居生活が始まったばかりの二人は、自分の時間を大事にしつつもちゃんとコミュニケーションとってる。散歩によく行くイメージあるけど、足腰大事だもんなぁ。
小学生の女の子の面倒見てあげて親切だなと感心したけど、その親の態度に辟易した。
『改訂完全版 斜め屋敷の犯罪』
御手洗潔と石岡くん、登場遅いよ! もう、ああゆう女たちの闘い本当に嫌。なんでこんな女たちの、どうでもいい争いを見らにゃならんのだ、早く私を癒してくれ石岡くん。。と思いながらページをめくった。
『改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木』
わかりやすく石岡くんを大事にしている御手洗潔が見れたような気がする?
松崎レオナ初登場。森真理子さんも初登場。こんなアクの強い人たちに囲まれても潰されないのは、石岡くんも頑固だからなんだろうなぁ。
『水晶のピラミッド』
ちょっと今回、サイドストーリーって枠でいいのかわからないですけど、古代の話の衝撃が強すぎて。。
あ、レオナも頑張ったけど(本当にごめん、レオナは素敵な人だし、心根が優しい人だとは思ってるけど、ちょいちょい言動が私の好みから外れている)、ミクルが強すぎて、読み終わっても「え、ミクルは?」ってなった。
ミクルの瞳が最後に写した世界はどんなだったんだろう、ってずっとしょんぼりとしました。
レオナが「四六時中そばにいる人の身になったら」って言ったときに、御手洗潔が動揺してる描写はかわいかった。
『御手洗潔のメロディ』
『IgE』で、石岡くんが自分で考えないことに対して、御手洗潔が苦言を呈している。石岡くんがあんまり気にしていないのでハラハラした。
『SIVAD SELIM』は、なんというか二人の関係は奇妙に入り組んでいるようだなァと感じた。
それにしても『IgE』の事件のきっかけとなった愛人、突然会いに来て、石岡くんの存在無視して御手洗潔にだけ話しかけるのなんなの。失礼なやつだ。
『上高地の切り裂きジャック』
『龍臥亭事件』見てないから、『上高地の切り裂きジャック』の里美に対する石岡くんの態度にモヤモヤする。。
『山手の幽霊』は大岡一家がなんとも切なくて、やるせない気持ちになった。御手洗潔が謎解きしているときに、乾の秘密のアルバムを熱心に見る御手洗潔に注視して、気味悪がってる石岡くん面白かった。
『屋上』
ケーキ作りにハマってる石岡くん、探偵事務所でみかんケーキを二人して作ってるとか光景がかわいい。
現場検証のときに、不潔な場所に入りたくなくて隠れる石岡くんはもちろんかわいい。
俺流ラーメンを気にせず食べる御手洗潔は、さすが食に興味ないだけあるけど、自分が作ったものを出しておいしいとか言われたら複雑な気持ちになりそう。石岡くんはすごいなぁ。
『眩暈』
小さなことの積み重ねなんだろうけど、決定的な溝はここらへんなのかなぁ、と落ち着かない気持ちになった。石岡くんは御手洗潔のまるで使い走り。言われたように行動するくせに、肝心なところで懐疑的というか、信じようとしない。犯人と対峙している時の御手洗潔の台詞は辛かった。私が石岡くんだったら逆ギレして家に帰ってると思う。あのときは本当に傷ついた。
『ロシア幽霊軍艦事件』
最初の方では、マナハン夫婦の顛末を、御手洗潔と自分になぞらえてショックを受ける石岡くんが面白くて呑気に読んでいたけど、ロマノフ王朝皇帝一家のエピソードが強烈すぎた。不安になって、あとで史実を検索したりした。
母国語と成人してから習得する外国語だと、使う脳の場所が違うとは知らなかったから、とても勉強になった。
『星籠の海 上・下』
これはサイドストーリーが際立ってた。
元俳優志望のカップルの話はうんざりしすぎてページをめくる手が止まりそうだったけど、忽那さんとヒロくんやばかった。何回か涙をこらえた。
忽那さんがひたすらカッコよかった!
あと御手洗潔と石岡くんの関係を邪推されて、動揺する石岡くんがかわいかった。石岡くんは本当に素直で愛らしく、受け身。私の想像する理想の昭和のヒロイン。
『最後の一球』
いやーこれ、好きだなぁ。近所に散歩に行こうという石岡くんに、フィンランドに行こうという御手洗潔が面白くて好きだけど、それよりも事件の別語りの方に心が持っていかれた。「そんなのってないよ!」って部屋の中で叫びそうだった。涙がちょちょぎれたし、独白していた彼の努力や自分の限界に対する考え方に感動して、内省しました。
『御手洗潔の追憶』
短編集で二人の会話はなく、それぞれがちょっとお互いのことを語るパートがあるので入れてます。いやぁ対比がすごい。御手洗潔は生き生きと忙しそうにしていて、石岡くんは失意の中生きている印象。今の状況は死んだあとのボーナストラックみたいなものだから楽しむ、ではなく、なんでまだ生きてるんだろうって呆然としている感じ。悲しい。
『最後のディナー』
御手洗シリーズの『最後の〜』ってつくやつに、私の涙腺は太刀打ちできないかもしれない。登場人物が濃ゆいよな。いい味出してる、好きだ。
御手洗潔が日本を出て行った後の話なので、石岡くんとはちょっと電話で話すだけ。どうでもいい嘘をつく石岡くんは愛らしい。
『リベルタスの寓話』
二人の心の距離が遠すぎてつらかった。脳細胞が死滅するのを待つのみといった石岡くんの態度もちょっといただけなかったから、御手洗潔の気持ちは全くわからんでもない。でもね、冷たすぎない?
日本が舞台では石岡くんが、サラエボではハインリッヒが御手洗潔で遠隔で中継していたから、助手役への態度の差を感じて泣きそうだった、私が。
読んでると石岡くんが思い出す話もあって、時系列がよくわからなくなったので、簡単にまとめてます。(御手洗潔と石岡くんの会話が成立していないタイトルは外していますが、例外的に彼らがお互いを語るものは入れています)