傘ネコのプッカ
ねこねこ星には、傘を持つと飛ぶ傘ネコ族が住んでいる。
アメリカンショートヘアくらいの大きで、立って歩いてよくしゃべり、傘を持つと飛んでいくこと以外は、地球のネコたちとはぜんぜん変わらないネコが。
昔地球からきた遊びにきた人が、雨が降ってきたからとネコに貸してくれた傘をさしたとたん、なんて素敵なんだこれはと飛んで喜んだというネコたちが。
これはそんな、傘ネコのお話。
ある朝、ネコたちの中でも飛び抜けて傘が好きな傘ネコ族が暮らす国、常初夏のモナネコ公国で雪が降りました。
この雪は特別で、積もったらすぐ雪だるまを作って、溶けないうちに【結構相手探しの旅】にでたら最高のネコが見つかるという言い伝えがあるもの。
だからモナネコ公国の傘ネコ王子のプッカは、【こりゃあいいぞ、いまから出発だ】と飛び上がって喜んだ。
毎日毎日、楽しく空を飛ぶだけじゃあちょっと何か物足りない思っていたところです。
急いで雪だるまを作って傘を持ち、お気に入りの蝶ネクタイをしめると、ウキウキと出発したのでした。
最初に来たのは眠り猫の国。
眠るのが何よりも大好きなネコたちの国で、1日中夢の中にいます。
みんな、むにみゃむみゃ ぐーぐー すやすや ぴーぴーまったく話になりません。
プッカは次の国へ向かいます。
朝日と一緒に起きてきて夕日を見ながら寝てしまう、おひさまの似合う女の子が大好きなのです。
次にビールネコの国へ。
陽気で元気で、ビールが大好きなネコたちの国です。
プッカもすぐ誘われて踊って歌って、ビール片手に大勢で乾杯。
みんなすぐ友達になれるきさくなネコばかりです。
だけどここでは、みんな何よりビールを飲むのが大好き。
なんだか違うなあと思いました。
陽気で楽しいのはいいけど。
プッカは、ぽぽぽんと傘をさすと、ふわふわと次の国へ飛びます。
次は、スキップの国。
スキップが好きでたまらないネコたちの国です。
寝ているとき以外はずっとずっと、スキップばかりしています。
楽しいけど、すぐ飽きてしまいました。
次は、お洒落ネコの国。
その名の通り、お洒落で可愛いネコばかりが住んでいます。
みんな洋服が大好きで、1日に何回も服をとっかえひっかえ、町中でファッションショーを開いてとっても華やかです。
素敵な女の子たちに、誰もが夢中になるでしょう。
でも、そこでも運命を感じる女の子には出会えません。プッカは少し悲しくなってきました。
世界で1番好きになれるネコなんて出会えるのかな。
ぱっと傘をさすと空高く舞い上がって頷くと、うさぎの国へ寄ることにしたのでした。
うさぎは、とっても賢いし長い耳でなんでもよく聞こえている存在。
気が合いそうなネコの声を聞き分けてくれると言われています。
うさぎの国では長老が、そのとびきり長い耳と経験で聞き分けて。
【ずっと南へ南へ飛んでいったら猫イタリアという国がある。そこは踊りネコたちの国。そこで一番素敵に踊るその女の子が運命の相手。】
そう教えてくれました。
プッカはと向かいます。
海を越えて山も軽々飛び越えて。
暑い砂漠もひとっとび。
２回寝てついた猫イタリアは、国中のネコが踊りネコで、みんながダンスを自然に踊ってしまう国でした。
プッカも、思わずお得意のバレエで運命の相手を探します。
傘を片手にグランジュデ、そしてくるくるくるくるピルエット。
僕の運命の人 おひさまが似合う女の子 出会えたらすぐに一生に踊りあい喜びあいたい。
思わずそう歌ってポーズを決めたときです。
花売りのワゴンの横から、びっくりするくらい笑顔が可愛い女の子も、踊り出して歌って答えます。
【あらあら、素敵な 素敵な 傘ネコさん♪】
【わたしは、踊り大好き花売り娘のピニーです♪ きっとわたしがあなたの運命の人】
【だって、わたしはあなたに一目惚れ。あなたのバレエにときめいた♪】
【もしも あなたもわたしと同じ気持ちならどうぞ一緒に踊ってくださいな♪】
プッカは、傘を片手に近づき、ピニーにこう言った❗️
はじめまして、お花のようなピニーさん
ぼくはモナネコ公国プッカです♪もちろんもちろん喜んで さあさあ一緒に踊りましょう。
そのとき、まわりのネコたちが祝福の、とっておきのダンスをみんなで踊りだして。
そして
どうなったかって❓
2人は【こんなに息が合うダンサーははじめて】そうお互いに一目惚れをしたし、みんなからも祝福されてながら、2人で空を飛ぶと【結婚しよう】と同時に言って、ハッピーエンドになったのでした。
おしまい。
ところでオマケの話。
昔、好奇心旺盛なネコたちが、冒険にでた。そして偶然たどりついた地球にそのまま住み着いた。
だからねこねこ星のネコたちと地球のネコたちはよく似ているのは偶然ではない。それは地球人もねこねこ星のネコたちもまだ知らない。
でも、地球のネコたちの可愛さや不思議さは、宇宙から来たに違いないと気がつく人もたまにはいるかもしれません。