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心に沁みた『宙ごはん』

この前、とても久しぶりに小説を読んだ。
夫がおすすめしていた 『宙ごはん』だ。

複雑な家庭環境の登場人物たちが、トラウマやしがらみを乗り越えていくストーリー。

手作りのごはんが人の心を癒やしていく様をみて、最近おざなりに料理をしていた自分を振り返り、もう少し温かな気持ちで料理をしようと思った。

小説は、以前好きだった作家が大風呂敷をしいて結末がグダグダになった作品を読んだのを最後に、あまり読まなくなっていた。

でも、今回の『宙ごはん』のように丁寧に紡がれたストーリーを読むと、やっぱり小説っていいなと感じる。

複雑な家庭環境でなくても、家族に対して多少の愛憎の感情を持つのは当たり前だと思う。
自分の視点しか持てないと死ぬまでずっと人を変に恨んだり偏った愛し方しちゃうけど、相手の視点で同じ物事をみる場面があって、自分の家族についても考えさせられた。

私の父方の祖父母も離婚したあとに子どもを半分ずつ分けて育てたので、祖父についていった父と叔父、祖母についていった叔父叔母とは、それぞれに複雑な感情を持ち続けている。

小説を読むと、自分には想像しにくい環境にある人たちのことを少し理解する足がかりになると思う。

私も、たまに激昂する父の溢れてしまう感情の奥にある ”傷ついた過去” を想像できれば、多少の八つ当たりは許容できるだろう。

『宙ごはん』は一般的な小説ではあるけれど、愛を見失っている人たちが愛に気づいていく内容がとても心に沁みる良い作品だった。

心を大きく揺さぶられる作品なので、お家で読んだ方がいいと思う。


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