創業70年の繊維工場がクラウドファンディングに挑戦する理由
はじめまして
はじめまして。香川県善通寺市にある繊維工場の「サン」です。
私たちはレディースやメンズをはじめ、キッズを中心としたアパレルを製造しています。
国内には数多くの繊維工場がありますが、そのなかでも「サン」は唯一無二の技術を持つ工場として、ほかとはちょっと違う特殊な形態の工場です。
それは、生地加工、裁断、縫製、プリント、製品洗い、製品染め、プレス、仕上げまでの工程をすべて一貫して自社で行っていることです。
アパレル業界というのは基本的に分業制で成り立っています。それは、各工程において専門的な知識や技術や設備が必要になってくるからです。
例えば企画だけ、パターンだけ、裁断と縫製だけ・・・と、その作業ごとに担当する工場が別れていて、いくつもの工場や人の手を渡って一つの製品が出来上がっています。
SPAという形で販売メーカーが企画から製造販売まで一貫して手掛けるケースもありますが、メーカーが手掛けるのは商品の企画で、そのあとは専門の工場に外注して製造というケースが多いです。
分業制の場合、工場側にとっては生産性を上げる事ができるメリットがあります。一方で発注する側からすると作業が別れている為、生産管理の煩雑さやコストがかかるというデメリットはあります。
こんなふうに繊維工場といっても、それぞれ専門分野や請け負っているものが異なっています。
そして「サン」のようなすべてを一貫して請け負える工場は国内ではほかにありません。
「サン」にはすべての工程においてプロフェッショナルな職人がいます。同じ工場内でそれぞれの職人たちが次から次へと商品を作り上げています。
唯一無二の製造工程とは別に、もう一つ「サン」には特徴があります。
それは「サン」が持つ独自の技法です。
「サン」では「トリプルタンブラー」という、完成まで3度の乾燥工程をする工法を取り入れています。通常は1度しか行わない工程ですが、3回行うことで柔らかく洗濯しても縮みにくく耐洗濯性の強い生地に仕上がります。
例えば、ヘビーオンスで固い印象のTシャツも着心地は見た目と違ってふわっと優しく肌を包んでくれます。表面が少し毛羽立った独特な風合いが生まれるのも特徴です。
「トリプルタンブラー」は「サン」が長年子供服の生産を請け負ってきた中で、子供たちが公園でタフに遊んでも丈夫で耐久性が高い商品を作るにはどうすれば良いかを研究しつづけた結果、たどり着いた究極の工法であり、全ての工程を行える一貫工場だからこそできる手法です。
クラウドファンディングへの挑戦
今回「サン」がクラウドファンディングに挑戦した大きな理由は「創業70年間蓄積した技術やデータが継承されない。」というものです。
唯一無二の製造工程に加えトリプルタンブラー、そしてこれまで蓄積した染色レシピのデータも数万以上と膨大な数になり、職人の長年の経験から硫化染料を使った特殊な染め方も私たちが継承していきたいものの一つです。
しかし、このままではこれらを活かす機会が限られてしまいます。
日本の縫製工場の現状はメーカーの下請けとしての業務が多く、バブル崩壊以降はファストファッションの台頭や生産の海外移転の影響などによって厳しい経営環境が続いています。
くわえて、コロナ禍で経営危機に陥っている工場も増えています。
「日本には技術力の高い職人を抱える縫製工場が多かった」と言えるのは過去のことです。今は、このような状況や後継者不在で廃業を選択する工場が増えています。
私たちも同じ状況にあり、創業以来蓄積した技術やデータが継承されないといった課題と危機感を抱えてきました。
そこで、この状況を打破するためには「オリジナル商品を作って自分たちの服を買ってくれるお客様の声を直接聞き、それをまたモノつくりに反映し、たくさんの方にサンの服を知ってもらう」ことへの挑戦が必要だと感じ、初めてオリジナルブランド<Amifactory>(アミファクトリー)を立ち上げました。
これまでもオリジナルブランドを作ることを考えたこともありましたが、そこはやはり業界の商習慣で既存の取引先であるメーカーやブランドへの配慮が必要であり、それを考えると一歩踏み出すことはできませんでした。
ですが、加工賃が下がり・原材料が値上がり・受注が減少したこの厳しい環境を変えていかないことには、未来がありません。培った技術で生き残りをかけた挑戦をしたい。
その想いから、オリジナルブランドの<Amifactory>を立ち上げました。
まずは、私たちの想いや技術が詰まった服に共感いただける方にぜひ見てもらいたい。そこで、選んだのがクラウドファンディングです。
オリジナルの服ががたくさんの方々の目に触れ、日本のモノづくりにご興味を持って頂ければ嬉しいです。
<クラウドファンディングMakuake>
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