夏の夜、月を眺める。
頬を一筋の光が伝う。
ああ、もうこんなにも眠たい。
まだこの世に生を受けて少ししか経ってないのに。
悲しくて悲しくて、私は思いっきり羽を揺らす。
死にたくない!!!
隣のビルから、どしん、という音がした。
ああ、私はこんなにも生きたいと思っているのに。生の喜びを享受しているのに。
人間てのはおかしな生きものだ。
ほら、耳を澄ませばもっと聞こえる。
生きたいと願う仲間の声が。泣く子も黙る大声で。最期の最期までがむしゃらに。
三日月の夜、1匹の蝉は、
その命絶えるまで一晩中鳴き続けたという。