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【インタビュー原稿】一億総ライター時代の生存戦略。ライターの先輩に聞いてみよう! 〜インプット・アウトプットについて〜


 ゲーム作家、大学教授、そしてライターとさまざまな顔を持つ米光一成さんに「ライタースキルの高め方」をテーマに。アウトプットとインプットに焦点を当ててお話を伺いました。


—— 2005年から2年間、『本の雑誌』にて「新刊めったくたガイド」連載時の情報収集、執筆のサイクルについて教えてください。

米光一成(以下、米光。):その月に出版された本をレビューするという連載でした。小説以外の本の中から選んで、その中の1冊は必ず漫画にしていました。多い時は1回につき10冊、最低でも4・5冊の本を紹介していました。僕は本を読むのがそんなに速くないので、紹介する本の3倍くらいの本を読むことは意識していました。そんなペースは安定しないんですけど。書くのは机に座ってからは1日でできちゃうんで、書くことより、面白い本を見つけるっていう方が大変です。日々本を読む生活を、連載してる2年間はやってたと思います。

——池袋のジュンク堂へ朝行って夜まで本屋で過ごすと書かれていました。本屋ではどのようなまわり方をされていますか?

米光:本当に単純に、下の階から順番にまわって全部の棚を順番にみていきます。見かけない本があれば、冒頭を読んだりして面白そうだったら買っていましたね。連載では新刊の本を紹介をしていたのですが、ジュンク堂も普通の本屋も新刊を置くコーナーがなかった。なので、結局全ての本の棚を見ていって、見たことない本を見つけて新刊を探していました。

◇繋がりがあった方が、原稿として読み応えが出る

——関係のない本同士の内容が繋がって記事になっている印象を受けました。意識して構成していたのでしょうか?

米光:繋がってるものがあった方が「一つの原稿として読み応えが出るなぁ」と思っています。ですので、そこをつらぬいて書いたりしてます。しかしその「繋がり」の為に本を選びはじめると本末転倒なので、意識して選んだりとかはしてないかな。とはいえ、本を選ぶ時に自分の趣味が入るのでその時に考えているテーマとかの本がピックアップされやすかったかもしれないですね。


◇米光流、本の選び方・読み方・読み返し方

——レビューをされてる時、本の選び方は変わりますか?

米光:変わってる気がする。レビューしやすい本と、しにくい本があって。タイトルと内容がパッとわかる本や、特徴がすごいはっきりしてる本は紹介しやすい。レビューするとそういう紹介しやすい本を手に取りやすかったかもしれない。なるべく、フラットにやろうとは心がけてたけど。

——noteの記事の中で、本は2回、3回読み返していると書かれていました。詳しくお聞かせください。

米光:最初は普通に楽しんで読んじゃう。それだけだと原稿が書きづらいので、読みながら付箋を付けるようにしてます。ちょっと気になったり、同じこと同じこと繰り返してるような箇所。小説だったらも新しく登場人物が出たとこに付箋をつけていく感じですね。
2回目読む時は、付箋を付けたところを中心にしっかり読むようにしていました。


◇自分の読んだ本の位置を把握する

——そのようにインプットした情報をどのように管理していますか?

米光:何もしてないです。本屋にずっと通っているんで、読んでない本でもタイトルを見て、「自分が読んだ本はこういう位置にあるな」というような把握能力はあるかもしれないですね。

——毎週ドラマのレビューを書かれていますが、ドラマレビューも見返していますか?

米光:見返します。1回目はドラマを楽しんで観ます。本のレビューと違うところは、ドラマは付箋がつけられません。ですので、2回目は止めて観ます。なるべくセリフを引用しようと思っているので、そのために止めてまた巻き戻して、セリフを書き留めていますね。

◇発見という軸があると、原稿は書きやすい

——「自分なりの発見」がレビューする上で重要とのことですが、詳しく教えてください。

米光:発見がないと書けないというだけです。ぼくはあらすじをそのまま書きたくないんです。まず発見という軸があって、そこを目指して書きたい。そして「作り手ってこういう工夫をしているんだよ」とか、「こういうことがあったから、感動できたんだ」といったことを伝えたい。レビューって観てない人への紹介でもあるけれど、すでに内容を知っている人も読むものだと思っている。そういう読者がレビューを読むことで、作品のおもしろさに気がついたり、再発見してもらえると嬉しいなと思っています。


◇発見を伝えることが自分のモチベーションに

——最後に書き続けるためのモチベーションを教えてください。

米光:モチベーション維持しようとはしていません(笑)「こういうの見つけちゃったよ」、「こういう工夫をしているよ」という「発見」を読者に伝えたいと思っています。そこが書くときのモチベーションになっている気がします。あと、ドラマのレビューは、ウェブだと特に「主演俳優のせいで視聴率悪い」みたいなくだらないクソ原稿があるから、それをなぎ倒したいために書いてます(笑)


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