黒と白の渦を追って。
こげ茶色のカップに注がれた黒い液体。
トングで角砂糖を1つ落とす。
ティースプーンでクルクルと混ぜると、黒い液体に小さな渦ができる。
その渦の端から、注ぎ込まれるミルクが流れに沿って白い渦を描いていく。
黒と白いが混ざりカップの色に近づく。
私はその工程を膝の上からまじまじと眺めていた。
いつのまにか私はコーヒーを飲むようになった。
家で角砂糖やミルクピッチャーに出会うことはなかった。
その代わりに、カプセルとボタン1つでコーヒーが飲めるようになっていた。
▼「短文バトル222」に参加しています。
好奇心を広げるための旅の資金にさせていただきます。 サポートありがとうございます。