想いは伝えなければ、肉体と共に消えるだけ。
余命が残り少ないと知っている人間は大切な人へ手紙を残す。
その人亡きあと、残された人はそのメッセージを胸に抱いて人生を歩んでいく。
映画でも小説でもよくあるシチュエーション。
当然、私も手紙をもらえるのだと思っていた。
その手紙には、私が知らない秘密、後悔、愛のメッセージが書かれているはずだった。
20年近く経った今でも、私はまだその手紙を受け取っていない。
希望と憤りが混ざって澱となり、私の心の底に沈んでいる。
たまに浮かんでは沈み、消えることはない。
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