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答辞
今回のお盆、
久しぶりに恋人にお会いしました。
同じ空間を共にした高校時代について、
卒業アルバムを見ながらお話していると、突然「あっ、この子」と指をさしたんです。
その先には、わたしが10年以上好きだった●●君の彼女でした。
当時は生徒会に彼女がいたのです。
彼女は一言で表すと眉目秀麗。
小さな顔にスッとした鼻、笑うとくしゃっとなる目が意外にも無邪気さを掻き立てました。
さらには頭もキレるし、スポーツ万能。(しかもわたしと同じバスケ経験者でめちゃ上手)
ピアノまで演奏できて、スタイルもファッションセンスも抜群。
挙句の果てには、生徒会副会長ときたもんだ。
高校生活の最後の大イベント、卒業式にて答辞を音読したのも彼女だった。
いつもスッと伸びている背筋をさらに整えて、まっすぐ遠く、前を見て、大きな澄んだ声が響いたのを良く覚えている。
あまりにも堂々とした姿で読んだ文章は、わたしが夢みていた高校生活でした。
当時のわたしにとっては、鈍器で殴られたようでした。
涙が止まりませんでした。
その瞬間に「しょうがないのかもなぁ。敵わないよなぁ。こんなに素敵なんだものなぁ。」と手の届かない美しさを感じた気がします。
恋人が「あっ、この子」と指をさしたんです。
わたしは途端にこわくなって、
「そうだよ、●●君の彼女だよ。」とずいぶん早口に言いました。
返事を待つまでの時間すごく時間がかかったように思いました。
すると、
何にもなかったかのように、さらっと、
「この子、卒業式の時、僕の書いた答辞を読みあげてくれた子。」
って言ったんです。
わたしが涙した答辞を読んだのは紛れもなく光放っていた彼女だったのですが、
答辞の文章を書いたのはわたしの現在の恋人だったんです。
卒業式の後、
彼女に答辞がとてもよかったと話掛けたことを思い出した。
その後、彼女は
「ありがとう。もう私に話しかけてくれないのかと思ってたんだ。(●●君の件で)本当にありがとう。」
と笑ってくれた話をしたんだ。