ぐらしあすの「溺れかかった女性を助けた話」
ちょっと自慢話になるが、夏になると毎年思い出す。
当時大学2回生だったぐらしあすは、仲間3人と沖縄本島と久米島を旅した。
初めて見たエメラルドグリーンには感動という言葉しかない。
4人で本島のビーチに泳ぎに行った。
今一マイナーっぽいビーチで、仲間4人とグリーンの波と戯れていた。
泳ぎつかれた4人は、ビーチから何メートルか離れた、足のつかない場所にあるフロート(海に浮いているいわゆる休憩場所で、形は豆腐を巨大化したものに似ている)でしばし休憩していた。
すると、ビーチに一人(なぜに一人かは不明)の女性が、ビーチに足を入れて沖へと進んでいった。しかし、足のつかない場所に来たようで、急に動きがおかしくなり、浮き沈みし始めた。
それを発見したぐらしあすは、頭で考えるよりか早く、瞬間的になんら躊躇なくフロートから飛び込んで、その女性のもとに行った。
あの時にぐらしあすのクロールは人生最速だったと思う。
やっと女性のもとについた。が、女性は必死にぐらしあすにしがみつくので、ぐらしあすも危うく溺れそうになった。
なんとかその女性を小脇に抱えて、やっとの思いで、足の着く場所まで誘導できた。
女性は下を向いて無言でハアハア言いながらじっとしている。
ぐらしあすは、安心して今度はゆっくりと泳いでフロートに戻った。
その女性がビーチに一人…溺れるというのが不可解である。
少しは話でもすればよかったのかもしれないけど、「気つけなあかんで」ぐらいは言ったかもしれない。
ぐらしあすの友人の3人は、ぐらしあすが戻ると言葉少なげになった。
その出来事はそれでおしまい。
これって、今から振り返ると、ぐらしあすのADHDが故の行動だったように思う(当時ADHDという概念はなかったけれど)。
しかし硬派だったな…名前も聞かず、泊っているホテルも聞かず、なぜ一人かも聞かず…かっこう良すぎる。
あの時の女性は今頃どうしているだろうかと考えることがある。
それは、決まって夏が訪れて2~3回くらいである。
蛇足:もし今ぐらしあすが当時と同じような状況で、年相応の女性を助けたならば、あの夏と同様の対応ができるか…以下省略。
失礼。