ごっこ遊びのプロセス②~見立て遊びからごっこ遊びへ~
前回の記事では、ふり、つもり遊びや見立て遊びが「ごっこ遊びの前段階」でみられることをお話ししました。今回は、3歳児頃から見られるごっこ遊びとその発展についてお話ししたいと思います。
ごっこ遊び初期段階 ~平行遊びから共通の目的をもった遊びへ~
ふり・つもり遊び、見立て遊びが進むと、いよいよここでごっこ遊びの登場です。3歳頃から見られますが、実はごっこ遊びにも段階があります。
初期の頃のごっこ遊びは、友達と一緒に日常生活の再現を楽しむ「かぞくごっこ」や、ファンタジーの世界を楽しむ「おひめさまごっこ」「ヒーローごっこ」など、ある程度のイメージを持ちながら、同じアイテムなどを身につけ、場の共有を楽しむ遊びが見られるようになります。
一見、みんなで共通の目的を持って遊んでいるように見えますが、実はこの時期は「平行あそび」の段階と呼ばれており、場を共有し同じアイテムを身につけて遊んでいても、それぞれがイメージする世界が異なることがあり、なかなか遊びが展開していきません。
そのため、自分がやりたい役をやった結果、かぞくごっこでは3人中3人がおかあさんだったり、ヒーローごっこではみんなヒーローで敵がいないなどという状況も起きたりします。この時に保育者は、日々の遊びの様子をよく観察しながら、場の設定をしたり、役割があることをさりげなく伝えたりするなど、子どもの遊びを十分に尊重したうえで設定することの楽しさを伝えるとよいでしょう。
ごっこ遊びの発展~場面設定・役割分担~
4.5歳頃になると、ごっこ遊びにも役割や場面展開が出てくるようになり、小さな頃の経験を思い出しながら、「自分のイメージを他の物を使って再現する力」「相手と会話を楽しみながら場面展開をする力」を発揮できるようになります。
例えば、相手と自分のイメージを確認し合い、「じゃあここはおうちね。おうちにはお母さんと赤ちゃんがいるの。Aちゃんはどっちやりたい?」などと話しながら場面設定を友達と確認し合い、具体的な役割や遊びの展開、必要な小道具等を準備するなど、よりリアルな遊びへと発展していきます。
また、日常生活の中でよく目にする職業などにも興味を持ち始め、お店屋さんごっこではお店屋さんとお客さんという設定をしたり、買い物をするための道具を作ったりするなど、よりリアルな遊びへと発展していくのです。
小さな頃はあるもので遊んでいたり、保育者に小道具が必要だと相談に来たりしていた子どもたちも、年齢が上がるにつれて、イメージを形にするためには「自分で考え、見本を見ながら作る」「自分で素材を選び、よりリアルなものを作る」など、主体的に遊びを創り出せるようになります。
保育者は、子どもが表現したいことを思う存分発揮できるよう、保育室に準備する環境についても十分に検討し、偏りがないようにしていくことが大切です。