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route.©️ file:004「ユニットバスの人魚姫」「朝焼けとハミング」舞台美術について




route.©️ file:004
「ユニットバスの人魚姫」「朝焼けとハミング」
ご来場頂きありがとうございました。

舞台美術を担当致しました、深町です。

今回は、僕がroute.©️の公演でどんな風に舞台美術をつくっているか、本作品の舞台美術の事を交えながらお話したいと思います。

かなり裏方のお話になると思いますので、サラッと読んでいただいても構いません。
よろしくお願い致します。

※両作品の内容に触れています。ネタバレにご注意ください。


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☆舞台美術打ち合わせ

台本をもらって、読んで、まずどんな感じの舞台美術にするかをなんとなく考えておきます。
平安との打ち合わせの際に、少しでも提案ができるようにしておきます。

なにが必要なのか、平台を組むのか、客席はどうするのか、、、、。いろいろ考えておきます。この時点ではまだ、図面は引きません。

その後、作演出担当の平安と打ち合わせをします。
この時に平安の方から、「舞台美術こんな感じがいいなぁ〜」みたいなイメージをもらうので、そこを土台として考え始めます。

(平安と打ち合わせした時のメモ)

ここから、舞台美術案を作っていきます。

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☆テザイン案

打ち合わせ終了後、テザイン案を描きます。

(初期デザイン案)


僕の場合は、まず公演のキーワードを書き出します。演出が話していたワードや、台本のセリフ。イメージできる情景や色彩もメモしておきます。
そこから、そのキーワードに当てはまるような画像やモチーフなどを探します。これらが、デザイン案を書く時の参考になってきます。

今回の舞台は、「土着信仰」「ホラー」「バスタブ」「自然」「不気味」と言ったようなキーワードから始まりました。汐ノ浜町は沖縄の様子が元になっていることを踏まえて、沖縄の写真を見たり、和風ホラーゲームの動画を見たりもしました。

こんな感じでイメージを膨らませていって、今回のデザイン案が出来ました。
舞台奥の装飾は、沖縄の自然をイメージしたフェイクグリーンと、神社の赤鳥居や血を彷彿とさせるような赤い布を、天井から吊るす案を採用しました。

ここでボツ案をひとつ。
この装飾、水色のキラキラしたリボンを吊るす案もありました。こちらは人魚の鱗や海からイメージしていたものです。宣伝美術担当の小林からフライヤー画像が送られてきた時も、全体的に青基調のデザインだったので、どちらにするか悩みました。
ただ今回の舞台は、二作品で使用するということで、水色の装飾だけだと「朝焼けとハミング」の時に少し合わないかなぁと考えました。また、最初に台本を読んだ時の自分のイメージを大事にしようと思って、今回こちらの案はボツにしました。

舞台上の冷蔵庫は、僕のわがままで置かせてもらいました。平安からは、「演出上使うシーンがないので、なくてもいいよ」と言われていました。舞のシーンもあり、舞台面のスペース確保のためにも置かない選択肢も十分にありました。
敢えて置こうと思ったのは、「ユニットバスの人魚姫」の梶原のセリフがあったからです。事件の内容を話すセリフの中に「遺体は容疑者の冷蔵庫に。」というのがあるんですけど、その時舞台上に冷蔵庫があったらゾッとしないかなぁと思いついて、置かせてもらうことにしました。

(「ユニットバスの人魚姫」舞台全体)

では、デザイン案が出来たので、ここから実際に使用するものを集めていきます。


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☆買い出しとレンタル品の手配

今回バスタブをレンタルするにあたって、4社くらいに問い合わせをしました。その中で一番お手頃価格だったレンタルショップ様よりお借りしました。
とても丁寧に対応して頂きました。可愛い小道具がたくさんあるので、また機会があれば利用させて頂きたいです。

↓今回利用させて頂いたレンタルショップ様


装飾に使った草はダイソーです。
いつも使っている造花もダイソーですね。

布類は最寄り駅の手芸屋さんで買いました。
時間があれば日暮里の方まで行くのですが、今回あまり時間がなかったのと、大量に買うわけではなかったので近場で済ませました。

ここで余談をひとつ。
今回使用している赤い布ですが、いつもroute.©️で使用している赤のリボンなどと比べると、彩度が低いものを使用しています。(劇団員が気がついてくれてさすがだなと思いました。)
実際に手芸屋さんで布を選ぶ際にもかなり迷いました。一緒に吊るす草の緑とのコントラストや、照明が入った時の見え方など色々考えて、多分30分近く売り場をうろうろしてました。
ですが、やはりここでも決め手となったのは、今回の作品が持つ「不気味さ」だったと思います。より作品の空気感に合うものを、と考えた時に、今回はあえて彩度の低い赤を使ってみようと思いました。小屋入るまでは結構不安だったのですが、実際に仕込んだら、やっぱりこっちの色にして正解だったなと自分でも納得出来たので良かったです。

(舞台奥装飾)

あと必要な備品はホームセンターで買います。
ホームセンターなんでもあるから楽しいです。

こんな感じで必要なものを集めながら、並行して平面図を描いていきます。

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☆平面図

(劇場に提出する平面図)

劇場様のホームページから平面図を印刷して、実際に図面を描いていきます。
多分今回は3回くらい書き直してます。多い時は5回くらい書き直します。
ほぼ独学で今までやってきてしまったので、この描き方で合っているのかは未だに分かりません。劇場様との打ち合わせにも使用するので、ちゃんと他の人が見ても分かるように描くようには心がけています。

ここまでくれば、小屋入り前の準備はほぼ終わりです。あとは実際に稽古場でミザンスなど確認して、必要なものは足りているか、危険なところはないかなどをチェックします。

細かい装飾などは、小屋入りしてから決めることも多いです。この辺は平安が率先してやってくれるので、いつもおまかせします。(今回の冷蔵庫や椅子の装飾も、小屋入りしてから変更しました)

(「朝焼けとハミング」舞台全体)


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いかがだったでしょうか。

今回の舞台美術、たくさんの方々に写真を撮って頂きありがとうございました。個人的にも結構気に入っているので、みなさんにも気に入って頂けていたら嬉しいです。

もし、舞台美術のお仕事に興味を持っていただけたら、仕込みやバラシなどお手伝いしに来てみてください。route.©️は年中人手不足なので、深町が泣いて喜びます。お気軽にお問い合わせください。

最後になりますが、いつも仕込みやバラシを手伝ってくれる劇団員とキャスト様、ありがとう。本当にいつも助かっています。

route.©️次回公演は12月予定です。
どうぞ、お楽しみに。

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