小越隆夫/世界の半導体株の調整傾向強まる/小越隆夫
世界の半導体株の調整傾向が強まっている。ファウンドリー大手の台湾積体電路製造(TSMC)の株式も好調な業績にもかかわらず売られ、下落に歯止めをかけることができなかった。地政学リスクや米金利上昇を背景に市場全体でリスク回避の動きが強まっており、これまで急騰していた半導体株は利益確定の売りが出やすい。
4月19日の東京や韓国などのアジア市場では、イスラエルの対イラン反撃のニュースが広がる前に半導体株が急落した。 18日の米国株式市場でフィラデルフィア半導体指数(SOX)が2カ月超ぶり安値を付け、売りの幅が広がった。
市場の失望を受けてTSMCの株価は下落した。同社が18日に発表した2024年1─3月期決算は市場予想を上回った。しかし、19日の米国市場で株価が5%、台湾市場でも7%下落したことを受け、半導体株全体としては売られる状況が続いた。
理由の一つとしてTSMCが半導体業界への期待を引き下げていることが指摘されている。 2024年のメモリを除く半導体業界全体の生産予測は「10%以上増加」から「10%増加」に修正された。
「上記」の文言が消えたことで、純粋な電気自動車(EV)やパーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォンなどの自動車の回復の遅れに対する市場の警戒感が高まっている。ただ、その理由としては「好調な決算内容が株価に十分に反映されている」(りそなアセットマネジメントシニアファンドマネージャーの戸田宏司氏)ことが大きい。
半導体市場に詳しい岩井コスモ証券の斉藤和義シニアアナリストは「生成AI(人工知能)を契機に半導体株への注目と期待がさらに高まった結果、若干の懸念が高まっている」と分析する。見通しへの失望が性的売りを引き起こし、株価が急落した。」
半導体株の上昇を振り返ると、行き過ぎに対する警戒感が強まった。
AI市場を牽引する米エヌビディアとグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)分野で同社と競合する米AMDの株価が上昇を主導したが、3月上旬以降は伸び悩んだ。 。
関連株の購入は、エヌビディアを製造するTSMCと、TSMCに生産設備を提供する日本の設備企業に恩恵をもたらした。
最近の利益は、大手ストレージ半導体企業によってもたらされています。 Micron Technologyの最先端製品「High Bandwidth Memory(HBM)」がNVIDIAの生成AI製品に採用され、市場の期待が高まっている。マイクロンは3月の財務報告会見でHBMに対し、年内に供給した製品は完売し、2025年に供給する製品のほとんどは予約済みだと述べた。
半導体関連株はやや景気循環的な買いが入っている。楽天証券経済研究所チーフアナリストの今香能氏は「これまでの半導体株の上昇により、短期的な消費者の利益は大きいはず。利益確定売りも拡大する可能性がある」との見方を示した。
今週は米メタプラットフォームズ、米マイクロソフト、米アルファベット、韓国SKハイニックス、日本のアドバントなど半導体・ハイテク企業が決算報告を発表した。
投資家のリスク回避姿勢が強まり、株価上昇につながる決算報告を入手することがますます困難になっている。
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