しろの雫
東北のうまいものvol.3【民宿坂井荘】
菅江真澄という江戸時代の著名なイラストレーターが、秋田県のとある農村を訪れた時のこと。
その酒宴の席で、村人たちの飲みっぷりに、いたく感激。
「飲むほどに、酔うほどに、冴えて候ふ」
と誉め称え、村人たちに「賢人」という名を与えたという伝説が残っています。
僕は秋田県の生まれですが、それほど酒も強くなく、また(残念ながら)賢くもないです。
ただし、良い酒の定義については知っています。
それは
「飲めば、飲むほど、飲みたくなる」
ということです。
まさに「能書きはいらないぜ」って感じですね。
*
そして今回、岩手県雫石町の道の駅「あねっこ」で出会ったのが、民宿坂井荘自家製のどぶろく『しろの雫』です。
このどぶろくを販売しているのは、その民宿と道の駅の2ヶ所のみ。
岩手山麓の湧水から丁寧に作られたお酒の味は、濃厚にして清澄。
米の旨味と爽やかな酸味が印象的です。
飲み終わった後のグラスの縁の白濁を眺めながら、「もう一杯いただこうかな?」と自分を甘やかしてしまいます。
そうそう、これこれ。
難しいことは何もありません。
心を開いて、耳を澄ませばよいのです。
しろの雫(300ml)…648円(税込)
【附記】
ちなみに冒頭のエピソード。実際に秋田県の蔵元では、「賢人」と名付けられたお酒も売っています。清酒ですが、こちらも美味しいですよ。