ミルクの森で②
2.宣告
母親が病気で倒れたのは、去年の夏の終わりの頃です。
父親と二人で、秋田県内の温泉宿で湯治をしていたところ、腰の辺りの痛みを訴えはじめました。
母親は元々、腰痛持ちだったこともあり、父親も「またか」ぐらいにしか思わなかったようです。
しかし、容態はしだいに悪化。
ついには、自力で歩くことも困難になりました。
そこで急遽、湯治の予定を切り上げ、市立病院の救急外来に駆け込みました。
「腎盂腎炎」
それが母親に付けられた病名のひとつです。
尿道などから入った細菌が、腎臓で悪さをする病気です。
その他にも、幾つかの聞き慣れない病名を告げられましたが、今でははっきり思い出せません。
とりあえず、今覚えているのは、その「腎盂腎炎」という病名と、医者から言われた「かなり病状が進んでいて、予断を許さない状況だ」という説明だけです。
(『ミルクの森で③』へ続く)
【附記】
これは小説ではありません。