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はじめましての代わりに
これからブログを書き始めるにあたって、本来であれば、まず自己紹介をするのが通例であろうかと思います。
ただ、皆さんにとっては、僕がどこで生まれたとか、どのような(チャチな)少年時代だったかという話は興味がないと思いますし、『ライ麦畑』の少年の言うとおり、そういったことを書くのは僕にしても「退屈」なんですね。
そこで、とりあえず僕が住んでいる町について、お話ししたいと思います。
生まれ育った町について語ることは、おそらく僕自身について語ることとほとんど同じ意味合いを持っていると思いますし。
僕が現在、住んでいる場所は秋田県の角館町というところです。
古くからの城下町が残り、武家屋敷と桜並木が有名な観光地です。GW期間中もさくら祭りが開催され、国内外から多数の観光客の方がおいでになり、賑わいを見せておりましたが、角館の住民が最も情熱を傾けているのは、9月に行われる「角館のやま行事」です。
壮麗に飾り付けられた重さ3トンにも及ぶ山車(こちらでは「ダシ」ではなく、「ヤマ」と呼びます。)が町内を練り歩き、3日間続く祭りの最終日には通行の優先権をかけて、山車同士をぶつけ、壊しあうというピート・タウンゼントもビックリなパンクな祭りです。
住民たちはこの祭りを心から愛し、ことあるごとに町内の若者たちが集まって、親交を温めています。
その酒宴の席では、祭りのお囃子が必ずといっていいほど演奏され、「オイサー」の掛け声が町の中心を流れる桧木内川の対岸まで響いてきます。
肝心の山車はまだ納屋の奥で眠っているというのに。
この祭りのおかげか住民同士の結びつきも、他の町に比べて強いような気がします。まぁ結局、僕はこの町の雰囲気に馴染めず、一時的に故郷を離れる決心をすることになるわけですが。
僕が話そうと思うのは、とりあえずここまでです。
角館町を離れてどこへ行ったかとか、そこでどんな生活をしていたかとか、そういう話はどうも気が進まないんです。ほんとうの話。
今のところ、そういうことにはあまり興味が持てないんですね。
(参照:『ライ麦畑でつかまえて』 野崎孝訳、白水社)