過去の話、二度目の休職から
酷い目にあって復帰して二週間(実働四日)でまた休職することになった。
まあろくでもない職場だった。しかたない。診断書持参した時の対応からして、あ、無理解だなという対応だったし、そもそもトドメを指した勘違い先輩からは一切無視された、おーいアンタのせいだよーと今なら笑顔で声掛けちゃうかもしれない。当時の私はもう嫌で診断書を出したらすぐ逃げ帰ったけれど。
しばらくはほんとに好きにすごした。
元々予定していた東京行きも果たしたし、ずっと憧れていた人形作家さんの講演にも参加した。色んな個展をみたりしてとても楽しかった。
しばらくして配属先の所属長から連絡が入る。友人とケーキを食べ遊んでいた時職場からの電話。見るからに私のテンションはダダ下がりだったらしい。目に見えてものすごく嫌そうに電話に出て話していたと言われた。
なんやかんやあって所属長が私を訪ねてきた。渡すものなんかがあったらしい。
それはいい。
その時とんでもない発言をしていく。
もう10月も半ばだか下旬だったか。私は復帰できる目処もなく復帰するにしてもその職場は無理だと思ってはいた。
所属長は復帰する気があるのかとかあんたが言う話じゃないんだけどなと言うようなことを聞いてきたと思う。人事権は所属長にはないのだ。
復帰するにしてもうちじゃない方がいいよね、と言う。そりゃそうだ、私はそうですね、出来ればほかの店がいいですねと言う。当たり前だろう。
執拗に復帰するならほかの店に行きたいと私に言わせようと仕向けている気がした。実際私もあの店に復帰する気はなかった。復帰する位なら辞めるという決断に踏み切れずにいただけだ。
そこで所属長が口を開く。
いやあ、誰とは言わないけどあんな状態なら復帰されたら迷惑って声もでててね。
は?
私は耳を疑った。
何て?
そりゃ迷惑をかけたとは思う。それを私が言うならわからなくはない。迷惑をおかけしたのでほかの店舗に……いや、冷静に考えると私がそんなこと言うのもおかしいな。精神的に追い詰められた結果本来出せるはずの実力が出せなかったのはそちらのみなさんの対応のせいでは???
え、待ってそれ本人に言っちゃう?
所属長はなんにも気にしていない様子だ。
あ、本気でそれを本人に言うことが悪いとすら思ってないんだ。
呆れる他ない。思い返しても呆れる以外言葉がない。
その後どんな話をしたか忘れるほどインパクトは強かった。
もちろんその発言者が誰かは言われなかったがあの店なら誰が言ってもおかしくないと思う。まあ、あの先輩が濃厚だが。そりゃ何人も辞めさせてる実力は伊達じゃねえよ(褒めてない)。
ちなみに派遣もやめたらしい。
そら辞めるわ。
今の私でも辞めていると思う。
当然私はそれを産業医と人事部長に報告する。産業医はともかくとして、人事部長の対応はその後も一貫してクソだったが。
何せ私が休職した原因も派遣がやめた原因も確実にあの先輩なのだ。だが人事部長曰く「以前に比べてだいぶマシになってるしあの人辞められる訳には」らしく、何やらモヤモヤした様子。弱み握られてます? それとも人事部長と先輩と所属長口裏併せでもされてます? そう疑いたくもなる。
一部の業務しか受けないとか何とか酷かった話は耳にしていたがあれでマシになったとは恐れ入ったなぁ……。いや、マシになったって酷かった時点で指導しろよ。何職務放棄してんだお前。
所属長の件(復帰されたら迷惑と言われた件)にしても私が人事部長に伝えたのは11月半ばだ。実際に注意をしたのは年明けだったらしい。
だって分かるでしょ忙しい時期じゃん。今は言えないよ、ですって。
いや、どんだけ自分本位なん? ここで病んで辞めるかどうかって状態の社員がひとりいますよ。あ、私いらないんですね、ハハッ。
いや、指導はできるやろ。
指導するのも仕事ですよね?
そんなん言われて忙しい時期乗り切られんくなるならハナからそんなアホな発言すんなや、でしかない。
ちなみに、私が残業していた件で私は人事部長から
なんで残業なんかしたの!? 定時で帰ってくれないと困るんだけど?
とキレられた。残業代貰ってないとは以前書いたけど。いや、あんたが
なんでもさせていいから!
って言ったせいですよ人事部長。自分の発言には責任もってー。なんなの自分の発言一瞬で忘れちゃう人なのかな。
ねえ、ほんとになんなの?
この頃から月イチの面談後私は数日寝込むようになる。もう限界だ。
面談に行くだけで熱出すんだから仕事復帰なんて無理に決まっている。
人事部長は4月から復帰の方向でどんどん話を勝手に進めて行ってた。ねえ、人の話聞いて? 私の話聞こう? 人の話聞けよマジで。
初詣は藁をもすがる思いで安井金比羅宮さんに友人と一緒に行った。
御籤は「そろそろ何とかなる」。
そうこの日が私の人生を変えるきっかけになる。
帰りに入ったコメダで友人からとあるミュージカルに行ってみないかと誘われる。チケット取れたし行ったことないでしょ? 気分転換に行ってみよ、と。
それがミュージカル刀剣乱舞だ。
ゲームこそやっていたけれど、ミュージカルや舞台にはほぼほぼ手を出してなかった。なんかゲームが好きなのにミュージカル見てる前提で話をされるのも正直嫌だったから敢えて見ていなかった。
観劇数日前、面談がありその時やっと所属長注意したからと言われた気がする、けれど復帰復帰とやかましく言われ、寝込んでしまいさらに扁桃腺炎か何かで高熱を出してしまう。幸いにも熱はすぐ下がり回復はしていたが、観劇当日まず私のスマホには「今日大丈夫?」との連絡があった。
何とか回復していた私は行けると返した。
まあその日私は仕事を辞める決意をする。
今まで散々避けてきたものなのに、単純なものだ。あまりの再現度の高さに驚いたし、そこには私の知っているキャラが確かにいた。
よく2.5次元を見て鬱から復帰したとか何とか言うエピソードを見る度、んなわけあるか、と私は比較的否定的だった。
そんなことありましたごめんなさい。
詳細はあまりここではあまり関係ないので端折りますが、私はとにかく仕事やめよう、と心に決めた。
ここからはすごい早かったです。
月末に同期とご飯食べた時は敢えて言わなかった。まだ人事部長に伝えてなかったのもあるし、同期の口の固さは信用に値しなかった(地味に酷い)ので、伝えたら広まると思っていたから。
そこで聞いた私を二度目の休職に追い込んだ店舗のエピソードがある。その後派遣さんが2度ほど職場見学に来た、らしい。1人目は決まらず、2人目はまあそれなりの感触でじゃあもうすぐにでも来てもらおうなんて話になりかけてたらしい。でも職場見学後ご辞退の連絡が入ったらしい。
多分所属長がいらんこと言うたんやろな。何人も立て続けにやめたり休職してるけど大丈夫とか。
同期はめっちゃ笑ってた、有り得る、と。
同期にすらそんな風に思われる所属長大丈夫か?
大丈夫じゃないですね。
大丈夫なわけないんですよ。
その後私は人事部長に辞めることを伝えます。
え? なんで? なんで辞めるの? 他にも若い子何人か辞めるんだけど? なんで?
でしょうね(心の声)。
私は何を言われても辞めますとしか伝えませんでした。
荷物を取りに店に行けば所属長が顔を見るなり「(私に復帰されたら迷惑と言った件を人事部長から)怒られて凹んでる」と。
それ本人に言います?
そういうとこやぞ?
あ、そうですかとしか返せなかったです。
いや、本当に酷かった。もっとなんかゴタゴタした記憶がありますがとにかく「復帰されたら迷惑」「あの人あれでもマシになったから異動はさせられないし」とかそういう当事者が無理って言ってること全く無視して進められる話には本当にこの世には日本語話してるのに話が通じない人ってのがいるもんなんだなと思いました。
ていうかメンタル担当何一つ休職者のメンタルケアできてない。
いや、本当にむしろ面談の度私の体調悪化していたので
メンタル担当休職者追い詰めることしかしてない。
メンタル担当とは。
正直ブラック企業ってもっとなんて言うか残業100時間とかなんかこうわかりやすいものだと思っていた。だからまだ朝8時(定時は9時)から無給で1時間働いて(それもよく考えたらおかしいけど)夜9時頃には帰れるという残業時間としては許容範囲(ただしある1ヶ月の間に関しては昼休憩はとれなかった)だったのでブラック企業とは思っていなかった。でもその職場にいた時1時間きっちり昼休憩取れたことほとんどなかったと思う。接客業してればそれが普通な気もするけど、そもそもそれっておかしいよね。
給与も世間一般からすればド底辺だったし、その理由は恐らく昔は不動産収入なんかがある前提だったんじゃないかな。いやぜんぜんそんなの私たちの世代には無かったけど。
あとはコネ入社という特性上下手にうるさくしたら家族のイメージが悪くなるという悪循環。なんなら家族は人質みたいなものだ。気にしない人なら別に気にならないだろうけど。
私はそういうの向いてなかった。開き直れなかった。やることなすこと全てにおいてあなたがやった事で家族がバカにされるのよって新人の時に言われた先輩の言葉は呪いだ。
その呪いがずっと私にはかかったままだった。
私はずっと一人の人として見られてなかった。
誰もこの職場の待遇に何も言わなかった(今はどうだか知らないが)のはそういう暗黙の了解みたいな悪しき風習とでも言うのか、そういうののせい。田舎にはありがちなんじゃない?
もうどうだっていいけれど。
そんな地獄にいたからどこに行ってもそこよりはマシ。そう思える点においてだけは本当にその地獄みたいな環境に耐え抜いた(耐え抜けてたかと言われると微妙だけれど)点は自分を褒めたい。決してそれに関して過酷な環境を用意してくれてありがとうとは思わない。耐えられた私が偉いのだ。
今の仕事を始めて、仕事が出来ない人のことを全力で周りがフォローして何とか仕事ができるようにするということが世の中の普通なんだと知った。出来ないと決めつけてできないことをバカにして罵るのは普通じゃないのだと知った。何かあれば上司がフォローしてくれることに驚いた。
それを友人に話したらそれが普通なんだよ、今までがおかしかったんだよ、と言われた。
狭い世界で押し潰されて仕事が出来ないとレッテルを貼られて精神を病んでまであんな所にしがみついていたことが馬鹿みたいに思えた。
あの仕事を辞めてよかった。
ただただ心からそう思う。
やめたらどこいったって仕事なんてできるはずがないとバカにされていたけれど、非正規にはなったけれど私は今の職場でそれなりに色んな人達に頼られ上手くやっていけてる。前の職場の人達は見る目がなかった。そもそも人事が適切に配置すらできてなかったんだ。少なくとも私はそうだ。
通院は今も続いているし、投薬も続いている。
でも毎日は楽しいし、朝起きて仕事行きたくないと思わなくなった。休職中私は働きたくないダメな人間なんだと思っていたけどそうじゃなかった。別に働くことが楽しいとは思ってないけど、少なくとも嫌じゃない。あの時辞めてなかったら生きてないと思う。
時間はかかったけれど、逃げ出して初めて自分を人として扱ってもらえる場所があることを知れたのが私にとっては本当に良かったのだろう。