りんの過去
そもそも私が何故「中二病」の山田を好きになったのか。
その理由は私の義務教育時代にあった。
私は小・中学校は町立の学校に通っていた。
(自宅から通学可能な範囲に町立の学校しかない田舎)
いずれも他の学校で問題を起こしたものの免職処分まではできない教師を着任させるための学校で、教育のレベルはかなり低かった。
中学校に至っては、偏差値が30台の高校に「皆で頑張って合格しようね」というレベルだった。
むしろその高校すら絶望的な成績で、名前さえ書けば合格する私立高校を受ける層がそれなりにいた。
ゲーセンもない田舎なので、放課後の娯楽はスーパーや商店での万引き。
生徒が暇を持て余して犯罪行為に走ることがないように、中学校に入学したら何かしらの部活に入ることが強制だった。
教師は教師で、自分が顧問をやっている部活に所属している生徒の自分の担当科目に「下駄をはかせる」のが当然だった。
そんな環境で、学校の授業は一度学習したらほぼ完璧におぼえられるため常に成績はトップクラス、万引きを「犯罪だから」と言ってやろうとしない私はかなり「浮いて」いた。
「成績が良いのがムカつく」という理由で、女子から陰湿ないじめを受けた。
配布物をまわしてもらえない、面倒な係や委員会を押し付けられる、何かあるととにかく私のせいにされる……
男子が「雨戸さんは悪くないやろ」と言うと、「男に媚びやがって」とかえってヒートアップ。
部活仲間面で「うちら友達でしょ」とベタベタしてくる女子すら、私から普通にきこえるところで「絶対カンニングしてるよね」「ぶりっ子死ね」「教師とやってんじゃないの」等言っていた。
そういった理由から、私は「頭(成績)が良すぎることで周囲になじめない」という状況がトラウマになっていた。
中学生時代は一時期不登校一歩手前で保健室登校状態だったので、致し方ないのかもしれない。
(当時は今ほど「不登校」に寛容でなかった)
というよりも、未だに仕事等でまわりとペースや議論がうまくかみ合わないとぞわっと気持ち悪くなってしまう。
そのため、自分と同じ理由で対人関係に困難を抱える人を放っておけない気持ちが強かった。
付き合うようになるまでの山田は、私への見栄なのか中二病の症状なのか「頭が良すぎて嫌がらせを受けている」と何度も言っていた。
山田とは学年が違うので、私は普段の山田の様子をよく知らなかった。
なので、当時の私は純粋に山田のことを「私と同じだ」「頭が良すぎてまわりから浮いてしまうんだ」と思い込んでいた。
次第にそのシンパシーが恋心のようなものとなっていった。
見出し写真:ぱくたそ
https://www.pakutaso.com/
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