パン生地に何かを混ぜ込む違和感
パン職人になって四半世紀。
日本のパンは、ガラパゴス化していることは理解している。
フランスのパンは、あの気候でないと美味しくないのも理解している。
ドイツのパンは、あの環境でないと美味しくないことも理解している。
一つだけ、日本のパンの困った特性をあげたい。
「どうして、なんでもパンに混ぜ込もうとする?」
まともなパンを作るだけでも、大変な繊細さを必要とするのに、そこに、色々なものを混ぜ込もうとする。特にハード系に多い。菓子パン系はそもそもそういって混ぜ込むのが前提なのでよしとする。(配合的な問題もあるので、あえて目をつむる)
多くの日本人は、「主食+副食」を言う考え方をする。主食はご飯であり、パンである。
しかし、その発想自体が、世界基準から外れていることには気が付かない。
世界基準では「主食」はメインディッシュであり「副食」がパンやパスタである。
日本には、おにぎりや炊き込みご飯という風習があるので、どうしてもご飯に何かを混ぜたいらしい。確かにご飯はとても包容力があるので、おにぎりや炊き込みご飯とは美味しいものである。
しかし、パンは、米ほど融通は利かない。米は完成されたものであるが、小麦粉は未完成なものなのである。
だから、未完成なものを完成されたものにする間に、それを阻害する食材をぶちこむと、結局として、パンとしては完成しない。
この感覚は、本当に、わかってくれる人とそうでない人との差が大きいので、説明しにくい。
あえて、似たようなものを上げるのであれば、うどん・そばであろうか。麺類であろうか。