カップルカウンセリング
私はかつて数年前にカウンセリングを受けたことがある。産後鬱にかかった時がはじめてのカウンセリング体験だった。当時は、カウンセリングも合う合わないがあると言うことを知らずに、保険が効くカウンセラーをランダムに探して、異なったカウンセラー二人からセッションをそれぞれ受けた。
効果があったか?と訊かれれば、正直そうでもなかった。結局は産後鬱関連の記事をネットで読み、友人や家族に話を聞いてもらい、地元の育児サポートグループに入会し、産後鬱を乗り越えた。
その経験があるからか、自分自身のカウンセリングもカップルカウンセリングも、今回の危機が起きた時点で、カウンセリング予約を取ることに対し少し躊躇していた。
いや、むしろ自分が関係修復に向けて行動すること自体に疑問を抱いてたのだ。なぜなら関係修復をしたいと言いながら、夫はなにも行動しないからだ。本気で関係修復をしたいのなら、なぜ自ら行動してカップルカウンセリングの予約を取らないのか?口では愛してると言うけれど、彼はなにも行動しないのだ。
そもそも彼自身の主張は、私たちのこじれはアルコールではなく、夫婦間のすれ違いから来るコミュニケーション不足ということだった。
確かにそれは一理ある。お互い身近に家族や気軽に助けを求めれる友人たちに囲まれているわけではなく、育児の問題は全て自分達で解決するしかなかった。お互いを犠牲にし、子供達のためだけに疾走してきたのだ。だからまず時間を一緒に過ごそうと言い張る。
私からしたら、それは私の論点を全く無視し、彼自身の問題に蓋をしてるようにしか見えない。それよりなにより、一緒に時間を過ごす事すら苦痛になっている私にとって、なんの解決策にもならないのだ。
それでまた口論になり、私はこう宣言した。
「本気で関係修復したいのなら、カウンセリングの予約を自分でして本気度を見せて欲しい。もうすでに私の気持ちは離婚状態だから、あなたと普通に会話をしたいと思わない。このまま何もせずに、お酒を飲み続けるのなら、これから先の共に過ごす未来が私には見えない。だから10年後には離婚をする。」と。
ところが彼が取った行動は、なんと母親に私たちの問題を話してしまったのだ。しかも全像を明かさず一部分だけを。
怒る狂う義母は私のところに乗り込んできた。そして威圧的な態度で、私にカップルカウンセリングの予約を取るように迫ってきたのだ。
普通の傍観者でさえも、この義母と夫の行動が異常であることはわかる。なぜ50代半ばの大人である息子の夫婦問題に、母親が首を突っ込むのか?冷静に考えたら、夫を問い詰め敵視する友人も家族も誰もいない私に対して、この親子の行動はアンフェアなのだ。
そんな状況に追い詰められた私は、もちろん黙らなかった。しかし、義母の行動と態度を夫に話しても、信じてもらえない。自身が母親から聞いてる内容と違うと母親をかばう夫。またしても、私は絶望に打ちひしがれた。
結局のところ、カウンセリングを受けようが受けまいが何も変わらないと、私は静かに悟った。今まで夫と義両親の望むがままの良妻、そして聞き分けの良い義理娘を演じて来た。自分の権利のために立ち上がり声を上げることは、彼らにとっては家庭をかき乱す悪者にしか映らないのだ。
私たちが通ったカップルカウンセリングは、厳密には結婚コーチングというもので、カウンセリングと少し違う。どちらかと言うと、ポジティブコミュニケーションスキルを学ぶというコーチングだった。それでもコーチの方が、多くのアルコール依存症問題を抱えるカップルをコーチした経験があるので、第一回目のセッションで夫の依存症を指摘してくれたのはありがたかった。
結果的には、義母の圧力でカップルカウンセリング(コーチング)を受けたが、私の中では行って良かったと思ってる。私の主張が明確に第三者を経て伝わった事、そして彼のアルコール問題が指摘された事は、大きな成果だったと思う。
特に夫は、これまでカウンセリングを受けた事がなかった。友人が一人もいない彼にとって、自身のプライベートを他人に話す事は大きなハードルなのである。
私が三回目のセッション後に中断しても、彼はコーチの方と一人でセッションに臨んでいた。そこでなにを話したのかは、私にはわからない。わからなくて良いのだ。むしろ彼女にカウンセラーになってもらい、もっと彼の話を聞いてもらいたいほどだった。
彼は孤独な人間だ。話せる相手が私以外に義両親しかいない。ある意味、可哀想な人なのである。
だから依存症になったのかもしれない。そんな彼について次の記事で書いて行こうと思う。
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