見出し画像

荒波の誕生日なので荒波を見に行ってきた

そうなのだ。のっけから何も言っていないのに「そうなのだ」と言われても困ると思うのだが、そうなのだ。2020/1/25は荒波翔さんの34回目の誕生日なのである。

いきなり荒波翔さんなどという、ぼくがかんがえたまんがのキャラクターみたいな名前を出されても困ると思うが、実在の人物(元プロ野球選手)である。

私は彼のファンなので、彼の誕生日である毎年1/25をクリスマスと認定し、仕事も必ず休んでいるが、去年の段階で上司にこいついつも1/25に休んでんな、という指摘を受けていたので、2020年は土曜日で助かった。

ちなみに去年何をしたかと言えば、「荒波翔さんの足跡をたどる」とか言いながら、まず爆誕の地である横浜市瀬谷区三ツ境に行った。横浜市瀬谷区というのは、東京都で言えば練馬か足立かといったところである。
目の前にTSUTAYAがある。かつては荒波翔さんも「ドラえもんのビデオ借りて借りて」とだだをこねていた場所である。想像だが。

これは去年の誕生日ではないが、いつぞやに行った荒波翔さんの母校である。これ大丈夫か?と思われるかもしれないが、大丈夫である。中学までは公式に雑誌に載っていたので、私がストーカーして知ったわけではないので。大丈夫である。
ただ、かなりの身の危険は感じた。いや、おそらく中学生さんサイドはもっと身の危険を感じていたと思うが、割とマジでちょっと間違えたら通報するぞ、というムードであった。公立中学校に安易に訪問するのはやめよう。いや、もちろん校門の前に立っただけで侵入してないけども。
もっとも、私は何かを聞かれたときのために荒波翔タオルは持参していたので、いざとなったら「これ」なんだが?と言わんばかりに出そうと思っていた。タオルになる上に印籠にもなるなんてすごすぎる……メルカリで買わなきゃ……(引退してるのでショップには売ってないよ!)

そしてその後三ツ境を離れ、次に行ったのが京急の「能見台」という駅だった。高校野球ファンならもう察したと思うが、そう、横浜高校の最寄り駅である。説明するまでもないが、荒波翔さんは横浜高校の出身なのである。

横浜高校は能見台から徒歩三分なのだが、信じられないことにその道のりを間違え三十分はかかってたどり着いた。
とはいえ、荒波翔さんも初めての時にはこのように道を間違えたかもしれず、まさに「足跡をたどる」という企画にふさわしくなったのではないだろうか。

いや、確かに、他にも生徒がいたんだから間違えないだろという突っ込みは一理ある。しかし一理しかないのである。私の中の荒波翔さんは確実に私と同じルートで道を間違えた。これでいいのである。
そういえばこの間違えた道のりも普通に住宅街で、割とマジで通報されるかと思った。人の足跡をたどることは通報されるリスクを負うことである。たいていの人は、普通の学校と住宅街で育っているのだから。

途中でブレザーの生徒とすれ違い、「えー、あれが横浜高校の制服か……いいじゃん、あれを着た荒波翔さん絶対いいと思う」などという雑な感想を抱いたが、後ほど知った情報によると横浜高校は学ランだそうだ。少女漫画のようだった脳内の高校時代の荒波翔さんは、一気に森田まさのりの作画となった。
横浜高校自体も割と普通に森田まさのりが描いたような校舎で、うーんこれは間違いなくやんちゃですねと確信した。「やんちゃであること」が一定のステータスを持ちそうな校舎である。
先日見た大阪桐蔭の豪奢できらびやかな校舎とは一線を画していた。だが、だからこそ横浜高校は神奈川県民に愛されるのではないだろうか。だって神奈川ではやんちゃであることは一定のステータスを持つから。
ちなみに校舎付近をウロウロしていたら筋肉質の教師に挨拶されて怖かった。怖かったのは向こうであるとは思うが。

能見台を離れ、次に向かったのはJR「平塚」駅である。これはもう、皆さんおわかりだと思うが、目的地は東海大である。
とはいえ、東海大は以前に来たことがあった。まあ神奈川だし近いし行きやすいし当然である。
そこで今回は、東海大野球部に焦点を絞った。平塚駅から少し離れた場所に、東海大野球部の練習場がある。そこを見に行こうというのだ。
しかし、「少し離れた」というのは感覚的なものであって、その「少し」は人によって様々である。具体的に言うと、平塚駅と東海大野球部グラウンドは、タクシーで3000円分くらい離れている。当初はバスで行こうとしたが、土地勘のない人にバスはハードルが高かった。
東海大というと、最寄りは「東海大前」駅だと思うのだが、練習場には平塚が近かったためそうしたのだが、ぶっちゃけあまり変わらないと思う。どっちでも3000円くらいじゃないかな。わからないが。
タクシーはどんどん森の中へ入っていった。知らない鳥の声がした。なんだここは。遭難しかねないではないか。と思った。
東海大の練習場は普通に広く、いや野球やるから当たり前なのだが、普通に広くて多分戸田球場(ヤクルト二軍本拠地)より立派だった。
なるほどここで荒波翔さんが育ったのだな……と感慨にふけってばかりもいられなかった。普通に学生がいたのである。平日の昼間なんだしまだ大学っしょと完全に高をくくっていたのだが、まあそうなってしまった。

めっちゃ見られているのを感じた。当たり前である。ギャラリーは私しかいなかった。中学や高校の時と違うのは、学生は普通に話しかけてくることである。
学生「何をしてらっしゃるんですか?」
私「あっイエ……あれです……見学を……だめですか?」
学生「大丈夫ですよ」
大丈夫らしい。よかった。でも全然落ち着かない。そもそも何しに来たんだ私は。
数分でその場を辞することを決意した。しかし、ここで私はあることに気がつく。帰り道がわからないのである(タクシーは帰ってもらった)。
意を決して、学生にバス停の場所を尋ねた。バス停が近くにあることだけはタクシーの運転手から聞いていたのだ。

私「すみません。この辺にバス停ってありますか?」
学生「ありますよ!あっ案内しますよ!」

えっ……優しい……優しすぎる……こんな優しいことってある?東海大って神奈川の宝じゃん…………と私は思いました(作文)。

学生「今日はどこから来たんですか?」
私「あっハイ、大和からです(大嘘)」
学生「近いっすね(笑)何か見に来たんですか?」
私「あっ私カープファンで(大嘘)田中広輔さんの母校が見たくて(大嘘)」

全部嘘で塗り固めた。これで神奈川の至宝である学生にも、荒波ファンってキモいなと思われずに済んだと思う。いきなり名前を出してしまった田中広輔さんには申し訳ないが、まあ別にいいだろとも思っている。

東海大出身。高校も東海大相模という東海大エリートである。

ちなみに学生曰く、この野球場には東海大キャンパスから自転車で来ているそうだ。荒波翔さんもそうであったのだろうか。
そういえば、東海大キャンパスはまず駅前から行くまでにアホほど階段を上る。こんなことを毎日していれば自然と足腰が鍛えられてしまうだろう。東海大のスポーツの強さには、そんな理由もあるのかもしれない。

幸いバスはすぐに来たので、私はグラウンドを後にした。

そして最後はハマスタに行き、めでたいからと寿司を食べた。まあめでたくなくても寿司を食べたかったので食べたのだが。三崎港という関内の寿司屋が好きだ。

いよいよ荒波へ

──長い前置きで恐縮だが、それが去年の私のお誕生日行脚である。しかし今年はもう少し工夫をしたかった。何回か聖地巡礼はしているわけで、ここらでなにかバリエーションを増やすべきであると。

ところで、荒波翔という名前を見て、それをどういう存在だと思うだろうか。素直に見れば、主人公か演歌歌手の二択になるであろうことは想像に難くない。
荒波翔さんはその二択のうち前者を選択したように思える。彼の人生は日向を歩く主人公のものであった。

それはさておくが、ただ単純に荒波という名字だけを見たらどうだろうか。それは「苗字が荒波なのか……」というそもそも論に結びつくのではないだろうか。
こんな名字をつけた彼の先祖もまたパリピであることが想像される。あえて荒波なんて名付けちゃうんだぜといったところだ。
一族の名前としてはあまりにも生きるのに困難そうな名字だが、彼の先祖はそれを固有名詞としていくことを選んだのだ。おそらくONEPIECEの愛読者であろう。
ならばその子孫たる荒波翔さんのファンである我々が取るべき行動は何か。それは、「荒波を見に行くこと」ではないだろうか。

「しかし、荒波はどこで見られるのか?荒波とはなんだ?」
マイルドな海原雄山のような疑問が湧く。そう、一体荒波とはどこで見られるどんなものを指すのだろう。どうせなら広くコンセンサスを得た荒波を見に行きたい。
「日本海の荒波」「瀬戸内海の荒波」などと言う言葉はよく聞くが、はたしてそれはコンセンサスを得たものなのだろうか。日本海が、瀬戸内海がすべて荒波と言えるのか?
そういう思いで「荒波」をググるうちに、私は一つの解を導き出した。日本人に深く刻まれた荒波、それはあれしかないと。

誰でもこの光景を見たことがあるだろう。「東映映画の最初のやつ」である。恐らくこれが「日本で一番広く知られている荒波」であろう。
調べてみたところ、これは千葉県にある犬吠という場所で撮られたものであるようだ。

千葉?これもう隣県じゃん、余裕ですわ

と思った。後から別に神奈川と千葉は繋がってないことを知った。BAKAじゃないか。
ただ、わりと頻繁に行っているのは事実であるし、日本海や瀬戸内海に行くよりは遙かに近い。
なんだこんなに近くにあるんだぁ、と私は正直余裕ぶっこいていた。そして愛用の乗換NAVITIMEアプリで場所を確認した。

普通にびっくりした。横浜から三時間半もかかるではないか。いつも行ってる千葉は一時間程度だった気がする。いや、一時間は嘘かもしれないが、二時間はかからなかった気がする。ちなみに私にとっての千葉とは幕張なのだが。
まあしかし、三時間半かかると言っても電車に乗っているだけではないか。別に労働するわけでもないし。そう思って、気がつけばJRに乗っていた。

千葉に行きながら思った。神奈川というのは、実は閉ざされた場所なんだな、と。まず東京に出なければ、大抵の場所に行くことができない。それは空港がないというのが大きな理由なのだが。まずどこに行くにも、東京に出なくてはならないのだ。
北関東という言葉があるが、南関東はあるか?答えはNOである。
立地的に南にある関東というのは神奈川しかない。栃木茨城が北であるなら、二分したとき南になるのは東京も同じであるが、東京は自分を南にあるとは言わないだろう。東京様が真ん中であるとすればならないので、南関東というものはないのである。
そんなことを思いながら東京を抜け、電車は成田方面へ。一応成田空港に入ったことがあるが、かなり前のことなので忘れてしまった。遠い、遠すぎる。電車はこんなに速いのにこんなに着かないことがあるのか、と思った。
同時に、千葉じゃん、とも思った。そう、成田はもう完全に「千葉」だった。私がよく行っている幕張などは、あれは半分東京みたいなものなのだ。

ところで千葉と荒波翔さんの関係であるが、無関係である。
現役時代からずっと球界で一番仲がいいのは千葉ロッテマリーンズの荻野貴司さんだと発言しているが、その荻野貴司さんもロッテに所属しているということ以外千葉に関係ないし、荒波にはもっと関係がないであろう。ただ、荒波は千葉にあるのだ。ややこしい。

すすきがたくさんあって、すすきがたくさんあるなあと思って撮った写真

酒々井(しすい)って読み方は5回くらい覚えたが、5回くらい忘れている。今回も忘れるだろう。

成田からは乗り換えて銚子に向かう。その電車からの光景、どこかで見たことがあるなと思っていたが、思い出した。平塚から東海大練習場に向かう際に見たあの風景である。
意外なところで荒波翔さんとの原風景が一致した。これで荒波翔さんも千葉と無関係とは言えないであろう。

そうこうしているうちに銚子に着いた。銚子は実は前から来たい場所の一つでもあった。私は魚が好きだ。青魚アレルギーがあるくせに魚が好きだ。一度降りて、食事をいただいた。ランチ1700円である。
それは、普段ランチを主に家から持ってきたものやカップラーメンで過ごしている者には高く感じたが、それがどうしたクリスマスだぞ。

実際これで1700円は安い。おいしかった。おいしすぎて失うのが怖くてすごくゆっくり食べた。
銚子ではお土産を買ったのだが、そこのおばちゃんがなんと一句詠んでくれるサービス。
すごくありがたい。名句だった。ネットに載せる許可を得なかったのが悔やまれる。私も将来的には俳句を詠んで暮らしたい。

そうして銚子での用事を済ませ、いよいよ犬吠へ。その際に銚子電鉄というものに乗ったのだが、切符はいらないからとりあえず乗ってくれと言われた。
その通りにすると、電車内での精算が始まった。江ノ電を彷彿させるすごくのどかな電車だった。

そして、そうこうして犬吠に着く。五分ほど歩くと、ようやく荒波が目の前に現れた。

うおおおおお!!!!いや怖いな!!!!荒波怖い!!!!!!

率直な感想はそれだった。写真で見ると言うほど荒波か?と思われるかもしれないが、言うほど荒波だった。神奈川の飼い慣らされた、野生を失った波とは違う、明らかにやんちゃな方の波だ。
これを荒波と呼ぶかと言えば間違いなくそうだ。波にも格があると知った。神奈川の海は一応見ているからわかる。この波は”上”である。

※この写真は神奈川の飼い慣らされた海

海岸というのはこのように基本砂浜ではないのか。そう思っていたのだが、ここには砂などという甘っちょろいものはなく、すべて岩であった。そのくせ降りていいですよと言わんばかりに波へ近づく階段があった。バカか。

階段があるので安全は担保されているはずだ。そう思ったものの、普通に怖い。波荒いし岩場だから足下も悪いし。波の音が普段思い描くザザ……というものではなく、ザザーン!!となっている。波の音にびっくりマークなんてつけないでほしい。

よく強風であるのに遊泳して注意されるという人がいるという話を聞くが、この海を見るとウッソだろお前という思いしかない。強風であるという条件ならこれより荒れてるってことじゃないですか。怖い。海は時に人を狂わせるのか。

ていうか、荒波翔のために荒波に見に行くぞ!という時点で海云々とは無関係に若干頭おかしくなっている気はするのだが、それは海とはまた無関係の部分での狂気であるので許してほしい。

犬吠で荒波らしいお土産を買った。かっこいいだろう。ロッテのステッカーも申し訳程度においてあったので買ったが、これの活路が見いだせない。

それなりに労力もお金も使ったわけだが、気がつくと荒波翔さんには一銭も払っていないことに気がつく。まあ、使ったお金は巡り巡って荒波の懐に飛び込むかもしれない。荒波の誕生日に経済を回したというのが大事なのだ。

というわけで、荒波翔さんお誕生日おめでとうございます!!

これが本当の荒波翔ってね(それがやりたいためだけに千葉に行った)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?