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解説:荒波翔とかいう出来事

というわけで、というわけだ。先日のDAZNにおいて荒波翔さんは解説員となった。
実は解説が初めてというわけではない。tvkやオンライン配信では既に経験済みなのだが、DAZNという全国区で話すのは初めてだったのではないだろうか。

DAZNの解説の前に、tvkの話をしたい。tvkと言うのは神奈川のローカルチャンネルである(東京でも見られるらしいけど)。ゆえに非常に神奈川に甘い。神奈川出身とみれば、相手の選手でも持ち上げてくるくらい神奈川に甘いのである。そこに飛び込む荒波翔さん(神奈川県出身)は、もちろんホームであるので楽に話せたのではないだろうか。というか、tvkは荒波翔さんに対して甘い。孫か?大泉逸郎か?と言わんばかりであった。大丈夫?解説できる?みたいな感じでめちゃくちゃ質問とかしてくれていた。

思えば当然でもある。荒波は高校生の頃からtvkに映っていた人材である。内部にはガチで孫を見るような感じの重鎮がいたのではないだろうか。

そのように甘やかした結果、借りてきた猫のような解説になっていた。まあ実際借りてきた猫って多分めっちゃうるさいんじゃないか?って気がしますけど、それはともかく慣用句としての借りてきた猫状態であった。

tvkで放送された番組の一場面、ベイサーの姫の構図。(自分のツイートで失敬。元ツイートなんだったか忘れた)

そんなふうに荒波を「特別なお客さん」扱いしてくれたtvkを飛び出して、DAZNは横浜のホームじゃないという場所なわけだが、そこで初めての解説をした。
想像以上に普通だった。急に結論を言って申し訳ないが。「普通だった」というのは、引っかかるものがなかったということで、良くもなく悪くもないということだ。恐らく、荒波の解説に対して違和感を覚えたりする人は少なかったであろう。つまり、よくできましたってことだ。やったぜ。
実際、tvkであんなにたどたどしかったのはなんだったのだろうか?と思うほどにしゃべれていた(たまに静まりかえるのはご愛敬)。基本的に実況が喋ってから自分も返すという受け身の姿勢だったが、それもまた出しゃばらない感じでよかった。
「普通のことを普通に言う」という安心感があった。決して面白い解説ではないと思うが、とりあえず「変なことを言い出す不安」というものは一切なかった。
声も聞き取りやすい。声質というのは変えられないものなので、これは恵まれたものだ。特別高くも低くもなく引っかかる声ではないので通りやすい。
荒波は決して一流の選手ではなかった。そのせいか、調子の良くない選手やミスをしてしまった選手に対しても優しいトーンで話せていて、子供の指導を楽しそうにやっているその人柄が窺えた。
やはり手練れの解説者のようにたくさんのことを話すのは難しいようだが、それでも充分だったと思う。
ていうか、私は普段解説というものをろくに聞いていないので、正直良いか悪いかよくわからなかった。これからは真剣に聞こうと思う。その「大して聞いていない」中でも、うるせえなと思わせた里崎ってすごいんだな。うるせえけど。

荒波の声を聞いていて思い出したのだが、私は西武第二球場で荒波が普通に話す声というのを聞いたことがある。西武第二というのは選手との距離が異常に近いのでお勧めの球場である。そこで飛雄馬と話していたのだが、話の内容こそ忘れてしまったが、「あ、この人横浜の人だわ」と思わせる話し方をしていたことが忘れられない。
神奈川という地は、方言がない。厳密には語尾に「だべ」「じゃん」をつけるというような特徴はあるようだが、大人になっても言ってるのは中居くんくらいではないか。大人はそんなことは言わないのである。けれど、関西イントネーションの飛雄馬との対比は確かに「横浜」を彷彿とさせた。昔から良く聞いていたしゃべり方である。「ああ、この人は横浜の人なのだな」と心から思った。
良くも悪くも、荒波は横浜らしい。彼の容姿立ち振る舞い話し方、どれを取っても「横浜出身」という看板に偽りないものに思える。瀬谷だが。瀬谷でもいいだろ。

話は戻るが、その「話し方」は武器となるのではないか。いかにも神奈川出身ですよという話し方はそこに生まれ育たなければ得られないものだ。ものすごく抑揚がない話し方なわけだが。しかし、一応横浜に生まれ育った私にはその素っ気ない話し方は郷愁に思える。ベイスターズの解説をするに当たって、それは得がたいものとなるのではないだろうか。知らんけど。

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