荒波翔さんと荻野貴司さんのディナーショーに行ってきました【前編】

2019年12月某日、それは行われた。荒波翔・荻野貴司ディナーショーである。

荒波は元DeNAの選手で、荻野は千葉ロッテマリーンズの選手。そこにどんな因果があるのか、知らない人もいるかもしれないので説明すると、二人はアマチュア時代のトヨタでチームメイトだったのだ。

しかし出会いはもう少し遡って大学時代。二人が大学野球日本代表に選出されたときのことだ。お互いに四年生。荒波は三年時から選出されているが、荻野は四年が初めての選出だった。
まあこの時のエピソードは何も知らない。荒波はこの頃からウェウェイのウェイであったことが想像されるし、荻野はこの頃からおっとりしていたことだろう。多分この時点では噛み合っていない。
ついでに言うと、この時点では荻野は内野手として選出されている。高校時代からずっと外野手であった荒波と違い、荻野はトヨタで内野からのコンバートとなっている。
ちなみに荒波は中学時代までショートとピッチャーをやっていた。ショートとピッチャーとキャプテンをやって、それでシニアを優勝に導いたのだ。
そんな選手も横浜高校に入れば外野にコンバートなのである。怖いな。横浜高校って。

話は戻るが、二人が噛み合ったのはトヨタ時代のことであろう。先述したとおり外野コンバートもあって、仲が深まったと推測される。

突然だが、荻野貴司さんのロッテ入る前の経歴を見てほしい。奈良県出身、郡山高校→関西学院大学→トヨタ、である。これを見てどう思うか。「よくわからんが多分お育ちがよい関西のお坊ちゃん」というのが第一印象ではないだろうか。郡山は奈良の進学校であり、関西学院大学は西のMARCHである。そこから日本一の企業であるTOYOTA。お上品だ。
一方で荒波翔さんのベイスターズ入団前の経歴も見てほしい。横浜出身、横浜高校→東海大学→トヨタ、である。これを見てどう思うか。「よくわからんが多分運動神経がよい」というのが第一印象ではないだろうか。そう、運動神経がいいのである。地元じゃ負け知らずだったのでは。何に負けていないのかはわからないが。

そんな風に、経歴から見ても割と二人が対照的であることが推察される。荒波はゴリゴリの神奈川のヤンキーであるし、荻野は奈良の優等生である。

荻野貴司さんサイドのファンの方に荒波はあまり有名ではないかもしれないが、荒波翔さんサイドのファンで荻野を知らない人はいないと言っていい。それくらい、荒波は荻野の話をする。
昔荻野は背番号４だったが、荒波も同じだった。その時荒波は、荻野と同じでうれしいと語っていた。ベイスターズ寮に入寮したときには、トヨタ時代の荻野のユニを持参し飾っていた。寮部屋紹介の際に映り込んでいたツーショット写真が荻野とのものだった。

このように、あまり有名ではないが、有名ではないが故にガチすぎるエピソードが入寮の時点でポンポン出てくる。正直怖かった。当然荒波翔さんサイドのファンとしては荻野って誰？となってすぐ調べるので、荒波サイドは荻野にも詳しいのである。

急に話は変わるが、荒波はよくスターマンと遊んでいた。いきなりそう言われてもわからないと思うが、スターマンというのはベイスターズのマスコットキャラクターである。荒波はよくそれと遊んでいた。チームメイトには目もくれず。
その様子を見て、たまたま一緒に来ていた友人（野球に興味なし）は言った。「あの人、人間の友達いるの？」と。いる。千葉に。と私は答えた。
荒波は陽キャであるし決して社交が不得手には見えないのに、なぜか仲のいいチームメイトというのが見えてこなかった。よく言えばミステリアスだったし、悪く言えば意味不明だった。そういう意味では、彼の口からよく出る荻野というワードには救われた思いがした。
ちなみに荒波が仲のよかったチームメイトは恐らく藤江均だと思う。次に内村賢介。二人がいなくなってしまったのでこういうことになったとも言える。

話は戻るのだが、そういうわけで二人のディナーショーである、荒波サイドから見れば待望であったが、荻野サイドではそうでもなかったかもしれない。そんなディナーショーである。

その日の銀座はクリスマスムードであった。それもそのはずで、もうほぼクリスマスじゃんみたいな日程だったのだ。クリスマスムードの大都会というのは人を狂わせる。
私は化粧品のセレクトショップで、こんな色どこでつけるんだよ、というような色のリップを買うか買うまいか悩んでいた。もう一度言うが、都会は人を狂わせるのだ。
結局ギリギリで買うのはやめて会場に向かった。

ただここでも問題が発生した。都会すぎて会場がわからなかったのだ。Googleマップくんがここだよ！と言う先は明らかに目的地ではなかった。建物が密集しすぎて訳がわからなくなっていたのだ。

ていうかそもそも、イベント会社からのメールに一切会場が書いておらず、我々はクソダサポスターを元に位置を把握しなければならなかった。その節はお世話になりました。このイベント会社、次はやめてくれ。

なんだかんだでおそらくここだろう……と目星はついたものの、オシャレ気取って「ディナーショーの会場だよ！」みたいなことは一切書いていなかった。都会ってこれだから嫌だわ。神奈川なら堂々と「荒波SHOW ぶんぶんカーニバル」と書いてくれるんだが……？

とにかく、もし違っていたら恥ずかしいので、店員に「ここは夜から貸し切り？」「ディナーショー？」「スポーツ選手？」などと、アキネイターのような質問で正解にたどり着こうとしていた。まあ正解だったのだが。よかった。

そうして会場にたどり着き、案内された先の席は、なんと二人の目の前だったのだ！！すごい。よくやった。ただ、イベントは限られた時間以外撮影禁止であった。今時そんなことってある？本当にありがとうございました。次はこのイベント会社やめてくれ。

そうしてディナーショーの席に着いた。私の前には「荻野貴司後援会」の紳士の方たちが座っていた。これが噂の後援会の方かぁ……と思った。いや、お前も後援会の交流会参加した以上後援会の方だろと思われるかもしれないが。
今年の荻野貴司交流会はトロフィー（なんの？）が授与され、フォークダンスが行われたそうだ。大変じゃないか……
　　
そうこうしているうちに、司会のいけだてつや氏の如才ない前説が始まった。関係ないが、この前日似合った同じイベント会社の小林誠司のイベントでは、司会は宮崎瑠依さんだったそうだ。
瑠依……！なんでや……！？と思うが、よく考えれば奥さんは巨人ファンでずっと巨人関連の仕事をしていた方なので、それはそれである。公私のけじめをつけたまでだ。
ていうか荻野貴司さん自体が荒波の元カノ的なもの（※）なのでそうなると関係が複雑になってしまうという懸念もある。

※後ほど説明したいと思う。いや、させてください。

そんで、二人は普通に出てきた。司会の話が長くて肝心の選手入場描写がふわっとしていて申し訳ない。二人の挨拶が始まったが、荻野貴司さんは緊張のあまりビールを三杯飲んできたそうだ。フランクすぎる。

よく考えてみると、確かに荻野貴司さんがこのようにラフなトークを中心にした席に座らされるのは極めて珍しいことなのかもしれない。多分他の場ではある程度テーマ等も決まっているのではないだろうか。わからないが……
そういえばよく考えたら私は荻野貴司さんのことを何も知らないが……

無知の知を感じたところで、つつがなくイベントは始まった。最初の乾杯から始まって、二人への質問コーナーやイラストコーナー、サイン会やツーショット会などなどなかなか二人のファンにとってありがたい充実したものだった。
写真撮れなかったけどな！！！！！！！！！！！！！次はこのイベント会社やめよ？

ところで、ツーショットコーナーで気になったことがある。そもそも二人の会なのに別々にファンとツーショットを撮るというのもよくわからないし、スリーショットでよくない？という気もするのだが、お互いに片方にしか興味がないという人もいるかもしれないのでそれは捨て置く。
ただ、どちらかにしか興味がなくても、「二人の会」であるということはきちんと認識していてほしかった。
なぜそんなことを言い始めたかというと、ツーショット撮影の際、まず荻野と撮影してから荒波という流れだったのだが、荻野とだけ撮って帰る人が2,3人いたのだ。
わかりますよ。自分は荻野貴司さんにしか興味がないし、なんなら荒波のグッズなんて持ってないし、ツーショットいらないです、となったのだろう。
ただ、くどいようだがあくまで「二人の会」だ。興味がなくてもいいから「興味があるふり」だけはしておいてくれ。お互いが気持ちよく楽しむためにも。荒波も自分のグッズを持っていないからといっていきなり罵倒してきたりはしないし普通に撮ってくれるから。次はほんと頼むわ。どうしてもグッズがなくて申し訳ない！と言うならグッズ貸すから。ここだけはほんと頼む（大事なことなので二回言いました）。

まあそれはさておき、イベント自体は和やかで緩いものだった。先述したとおり荻野貴司さんはビールを飲んでいた上に会場でもそれなりに飲んでいたので、本当に酔っていたのかもしれない。
ある質問を受け付けたときなど、5秒くらい黙っていた。現実世界で何かを聞かれて5秒黙るというのは結構怖い。そうして5秒後に絞り出した言葉も、「……じゅけん……受験か～……」であった（質問はもちろん「荻野選手はどのように受験勉強しましたか？」）。
ついでに「ズーちゃんからセクハラされた」「ズーちゃんの中の人は女の人」「着ぐるみ……」等禁止ワードを連発しておりハラハラした。ちなみに荒波はスターマンの中の人は見たことないそうです。よかったね。もしかしたら中の人なんていないんじゃないかな。

ちなみに荒波は本当にうれしそうで、よかったな……と思った。急に語彙力が下がったが。ずっと一緒にやりたかったんだって。よかったな……
生で目の前で見た荒波かっこよすぎワロタと思わず死語を繰り出すほどだったが、かっこよかったわ……荻野もイケメンだしね……この絵面だけで生きていける気がしたよ……いつかまたこの場所で巡り会いたい……（ただしイベント会社は変えてくれ）

荒波が荻野のことを好きなことは大分前から感じていたが、本当に好きなんだなと思った。その昔、二人が某雑誌上で対談をしたとき、ベイスターズの広報が言っていた「こんなに楽しそうな荒波選手は初めて見ました」という言葉を思い出す。「いや、もっとベイスターズでも楽しそうにしろ～？」と思ったが、そういうことなのだ。荻野といる荒波は楽しそうなのだ。だからよかったなと思う。本当にそれしか言うことがない。

荻野ファンにはあまりピンとこない話題かもしれないが、トークの中で「荻野は家でジグソーパズルをしていた」「そのピースが一つ足りず、結局もう一つ買った」という話は対談で語っているもので、荒波ファンはよく知っている話題であった。その中で、「そのパズルはライオンの絵のやつだった」という事実が語られたのは歴史的発見であった。
この話題は、対談で荒波が口に出したときには、荻野は「そんなこともあったな。よく覚えてるな」というようなことを言っていた。荻野のことを荻野よりもよく記憶してるんだなと思ったらちょっと怖い。

ここまで書いて、ため息が止められない。絶望感すらある。結局我々ファンは荻野にかなわないということなのか？遠くから山びこのように「そうだよ」「当たり前だろ」のシュプレヒコールが響く。

荒波というのは感情が死んだような人だった。少なくともベイスターズのベンチでは。自分が打っても大して楽しくなさそうだった。ヒーローインタビューでも一部を除きほぼ無表情だった。
近年の研究でこれは、多分本来の感情的な部分を隠すためのポーカーフェイスだったのではないかという説が出てきているが、それはさておきそういう感じであったのだ。それが荻野の前ではこんなに楽しくしてるなんてさぁ……悔しくないんか……悔しくないんか？(号泣)

♡号泣し始めたので次回に続く♡