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【仕事から心理的距離を取ってみた】#1 仕事が盛り上がった理由

24年度上期、意識して仕事から心理的距離を取っていた。
ビジネス上の諸事情から降って沸いた閑散期を、これ幸いと積極的に享受させてもらっていた形だ。ただ、繰り返しになるがビジネス上の諸事情で降って沸いた閑散期なので、去る時も急である。24年度下期となり、私のもとから閑散期が去って行きそうなので(まだいて…)、本格的に去ってしまう前にそもそもなぜ仕事から心理的に距離をとってみようと思ったのか、距離を取ってみた感想などを残しておこうと思う。
しかし、半年前の記憶がすでに朧げなので、正確に自分の思考を残せるかは不明。
また、心理的距離を取ってただけなので、通常通り週5で働いてはいる。

なぜ仕事から心理的距離を取ろうと思ったの?

そもそもなぜこのように思ったのか。それは23年11月〜24年3月まで仕事がべらぼうに盛り上がっていたからである。
上記期間は私の社会人人生でトップ3に入るほど忙しかった。私は普段"忙しい"ということを何かを断ることの理由にしたくないと思っているのだけど、この時期は"忙しい"としか言い表すことが出来ないくらいとにかく盛り上がっていた。(仕事が)

また、「社会人人生でトップ3の忙しさ」と表現したが、忙しさの中身がこれまで経験していた忙しさとは異なっていた。

忙しさの種類 (これまで) 〜暴走列車乗務員編〜

急にプロジェクトを列車に例えるが、プロジェクトを列車に例えると、プロジェクトが忙しいということは列車が暴走しているということと近い。
規定のルール通り、スケジュール通りに進んでいれば列車はそれなりに安定して走っている。お客様の荷物挟まりや信号機での停止などのイレギュラー事態もあるが、そのイレギュラーは当初よりある程度想定されているため、とくに大きな問題にはならない。当初のスケジュールで吸収可能というやつだ。

(良いことではないが)人身事故が起こったとしても、ある程度ナレッジが溜まっているため復旧は可能だ。また、列車が停止している間は振り替え輸送などの周りのサポートも受けることができる。(そう考えると交通インフラ業界ってすごい…)

しかし、列車の行き先がそもそも間違っていたらどうだろう?または、燃料庫が故障して列車がうまく走らない。もしくは、これらが同時に発生する。そうすると、中に乗っている列車関係者はどうにかしようと試行錯誤する。

私が今まで経験した"忙しさ"は、このような列車に乗っているときに経験したものだ。
どうにかして正しい行き先に時間通りに到着できるよう、行き先の認識を合わせルートを確保し、燃料庫の故障を治す、もしくは壊れた状態で無理やり走らせる。列車の中から、どうにかして終点を再定義し外部の人と協力しながら目的地に到着できるよう尽力する。私がこれまで経験した"忙しさ"とはざっくりこのような感じだ。

忙しさの種類 (今回) 〜列車ジャック交渉人編〜

ただ、上述のような状況は(よくはないが)比較的良く起こる。このような状況にならないようにするためのナレッジ本やマネジメント本も無数に出ている。ためになるものあるし、ならないものもある。このような状況をたくさん経験した人が"火消し"として列車に乗って来ることもある。

しかし、列車ジャックはどうだろうか?列車の行き先間違えはナレッジがある程度溜まっているが、列車ジャックのナレッジは溜まっていないように思う。列車(プロジェクト)がジャックされたときの対策本はない。また、どこまで本気で列車ジャックが起こった時のリスクの洗い出しをするだろうか?もちろん、列車ジャックが起こる可能性は0ではないが、そのリスクについて検討する機会は少ないと思う。

また、上述の燃料庫が壊れた行き先未定の列車との一番大きな違いは、運転手が内部の人間ではなくなっている点にある。列車を管理する人間が外部の、いつどのような行動をとるかわからない人間に差し代わっている。これは、列車が(プロジェクトが)管理されていないということである。

23年11月から24年3月まで、私はこのジャックされた暴走列車を外部から止めようと奔走していた。初めての経験だ。

(※ちなみに、実プロジェクトにおいて列車ジャックされるようなことが本当に起こるか?という点については、契約形態によっては起こりえる。(実際に起こっている。)私は今回の件を経て、まじで!契約!!大事!!!を標語にしていきたいと思っている。
※サイバー攻撃にあったなどではない。)

ジャックされた列車を外部から止めるには

まず、ジャックされた列車を外部から止めるには、その列車以上に早く走る必要がある。先手を打つというやつだ。言葉にするだけならカッコいいが、実践するには相当な体力がいる。列車が100km/hで走っている場合、先手を打つためにこちらは正しい情報を収集した上で200km/hで走りながらゴールを定める必要がある。

名探偵コナンの『時計仕掛けの摩天楼』という映画をご存知だろうか。コナンの映画第一作目である。未視聴の方へのネタバレのために詳細は伏せるが、この映画の中で電車に爆弾が仕掛けられる。コナンは様々な角度から情報を集め、この爆弾が爆発しないように奮闘するという名作である。観たことある方はこの映画のコナンを想像してもらえると、列車(プロジェクト)のスピードと状況展開以上に先手を打ち対応する必要があることが伝わりやすいと思う。私はこの映画が大好きだけれどそれは映画だからこそ好きなのであって、自分が同じような経験をしたいわけではない。

また、列車(プロジェクト)がジャックされたとなると私のようなペーペー社員では出来ることに限りがある、というかほぼない。では何をするかというと、上に情報を上げるのみである。現場の状況が正しく伝わるように情報を整理し、上の人が話を聞く時にノイズとなる情報は削るor噛み砕くということを行う。"上の人"というものは経営観点は当然知識/経験豊富だか、一歩ITよりの話になると途端に理解力が低下する人も中にはいる。また、多数あるサービスの中の1つについて、理解が深い人もそうそういない。そうではない人ももちろんいる。しかし、ここで問題なのは、"事情への理解度に差がある"という状況が生まれてしまうと、その場の混乱と確執を生むことがある、ということだ。よって、参加者全員に過不足なく嘘のない情報が認識齟齬なく伝わるように情報を精査する必要がある。これがとてつもなく頭を使う。

また、今回ジャックされた列車は相当な金額をつぎ込んでいる列車だっため、会議の参加者が錚々たる顔ぶれになっていた。ここまでくるとペーペー社員代表の私としては一周回ってもはやただのおじさんたちの集いに感じていた。言ってはなんだが本部長クラスでも若干雑魚感が漂うような顔ぶれなので、随分高いところにいるな〜と他人事のように思った。

私は今まで、売上や利益について自分が関与しているサービス周辺のことしか考えたことがなかった。しかし、ここまで大きな話になってくると誰もサービスの話はしておらず、会社としての方針、引いては社会へのインパクト性や今後の経営について、これ以上はぼやかすがとにかく大きな話をしていて、さながら日曜劇場である。そりゃ、他人事にもなる。私は会議の参加者に堺雅人を探した。
日曜劇場お馴染み(?)の、派閥争いなども併発し、もはや何が問題なのかわからなくなってくる。ここまで来ると列車(プロジェクト)ジャックなんて大した問題ではない…

しかし、大きな問題というのは「ここまでくるとこんなこと大した問題ではない」のレベルまで来て初めて収束させるイメージがつくのかもしれないとも思った。大きな問題はさらに大きな問題で潰す。実際この辺りで列車ジャック問題はものすごいスピードで収束していったように思う。
ただ、正しくは"収束した"というよりも、"それよりもさらに大きな問題の話になったから一旦脇に置かれた"というのが正しい状況だと思う。しかし、結果として、この"それよりもさらに大きな問題"により、ジャックされた暴走列車自体は止めることができた。

私が忙しかった理由

端的に言えば、私は今回大きく2点のことで忙殺されていた。
1点目は、上層部への情報の提示。
現場の状態を適切に把握し状況/問題/課題を明確に切り分け、認識齟齬が起こらないよう情報を適度に整理し上の人に説明する(資料を作る)。また、判断の方向性と道筋を先回りして考え、必要な情報をかき集めておく。200km/hで。経営者は24356体制である。ということ。

2点目は、一般社員への情報の提出。
列車がジャックされているということ知らない一般社員に向けて、通常業務に混乱をきたさないよう適切な情報を提示する。ということ。

あまりにも日曜劇場のインパクトが大きく、ここまで上層部の話しか書いていなかったが、現場もそれなりに混乱していた。そりゃそうだ。列車がジャックされているが、ジャックされているという情報は伝えられず、なんとなくきな臭い空気が流れているものの、列車(プロジェクト)が止まっているわけではない。なんならすごいスピードで走り続けている。走り続けているのであれば、まぁ大丈夫かと思うが、本当に大丈夫?という気持ちは拭いきれない。不安になるならまだいい方で、あまりにも情報が提示されないとこの列車における自分の存在価値を否定されたような気持ちになる方もいて対応が難しい。自分の存在価値を仕事に求めるな。

誰にどの情報を伝えたか/伝えていないか、伝えた方がいいか/伝えない方がいいか、どう伝えるか、伝えるタイミングは、などを考えるので頭がパンクしていた。

お気づきだろうが、私がジャックされた列車を止めたわけではない。私は翻弄さていただけである。そして、問題が本質的に解決したわけでもない。ただ、"これよりも大きな問題"の解決に上層部が取り組んでいる間は、列車(プロジェクト)は一時停止せざるを得ないため、ビジネス上の諸事情で降って沸いた閑散期となる。

ここまでが、23年11月〜24年3月まで仕事がべらぼうに盛り上がっていた理由だ。

ところで、私はこの文で「なぜ仕事から心理的距離を取ろうと思ったの?」ということを書きたかったのだけれど、仕事がべらぼうに盛り上がった大スペクタクル日曜劇場の記録を書いたら4,000字になってしまった。話が長いことを嫌がっているのに、自分の話が長い…よくない…

なので、ちょっとシリーズものとして(というほど書くことがあるかわからないけど)書いていくことにする。これは『#1:仕事が盛り上がった理由』とかにしておく。

続く。

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