
アメリカでまた転職することになった話
今はBluesky (@americairoiro.bsky.social) に移った[あめいろ]です。
一年と少し前に書いたこちらの転職記録は予想を上回る数の方々に読んでいただきました。やはりアメリカで働く上での大きな不安の一つはjob securityで、レイオフのような防ぎようのない状況でどんな風に次の仕事を見つけるのかという話は、ある程度興味のある方も多いのかなと思いました。
7ヶ月に渡る苦しい就職活動の末に勝ち取った仕事、2024年の年初から働き始めたのですが、実はまた転職することになりました。今回はその記録です。数字は以下の通りです。

何があったのか
再度の転職を考えた理由はいくつかありますが、大雑把に言うと会社と組織に対する不信感と、仕事の内容ということになります。

仕事の内容について。僕はData Scientistなのですが、この会社での仕事はProduct Data Scienceということで、ある製品についてのデータ一般を扱う専門家という立場でした。今までの仕事でも"Data Scientist"というタイトルではあったものの、実際の仕事はかなり幅があって、主にやってきたのはSDEと一緒になって新しいfeature、特にコアのアルゴリズムを実装していくような感じでした。そういうわけでProduct Data Scienceというのは初めての経験。
結果から言うと、あまり楽しめませんでした。自分の担当していた製品が新しいものだったということもあり、data infrastructureが全然整っていなくて、ダッシュボードひとつ作るにも苦労する状況だったので、自分の主な仕事はパイプラインを作ってそれを元にPMの見たいデータを見られるダッシュボードを作って、ということの繰り返しが主でした。Data engineeringの知識と経験は得ることができましたが、これが自分の本当にやりたいことだったか、あるいは自分のスキルが十分に活かせているか、というと疑問でした。
その他いくらでも書くことはあるのですが、きりがないのでこれくらいで。
転職活動
そういう経緯でまた転職活動を始めました。レイオフにあってからの苦しい記憶がまだ新しい中、2024年は転職のことは考えずに落ち着いて腰を据えて仕事に集中しよう、と思っていたはずだったのですが、なかなか思い通りにはいかないものです。
久しぶりにLinkedInでjob openingを探します。2023年に比べて増えているような気もするものの、それほど大きくjob marketが改善した感じもしない、というのが正直なところでした。とりあえずresumeをupdateして、それらしいところに応募しました。
その結果、virtual onsiteに進んだのは3社でした。
Onsite1社目: M社
- 2024/10/15 Recruiter
- (2024/10/17 Webinar)
- 2024/10/23 Tech screen
- 2024/10/25 Recruiter
- 2024/11/08 Onsite
- Technical x 3
- Behavioral x 1
────> 2024/11/19 Rejected
みんな大好きM社です。2023年にも応募してonsiteで落とされていたのですが、こちらの会社は一般的に"cool off period"と呼ばれるものがあって、一度rejectされた後にこれだけの期間が経てば再応募できる、ということになっています。M社の場合はそれがどうやら一年で、そのタイミングでリクルーターからLinkedInにメッセージが来ていたので返事をして応募しました。
ちょうどdata scientistのinterview processについてのwebinarがある、とのことで参加してみました。それぞれのinterviewがどういう内容か、どういうスキルを測ろうとしているか、などかなり詳細な内容で、interviewを受ける参考にはなるのですが、何かとても「型にはまった」感じを受けます。こういう質問に関してはこういう筋道で答える、というのがガチガチに決まっているような。
ともかく最初のtech screenを受けます。SQLのcodingとA/Bテストのちょっとしたcase studyで、簡単でした。
前回の時はこの後に複数のチームのjob descriptionを見せられて、どのチームに興味があるかを選んだのですが、その後システムが変わったようで、チームは決めないままにonsiteに進みました。
onsiteは45分を4つということで前回より少ないです。あまり詳細は覚えていないのですが、ひとつ印象に残っているのは最初のinterviewがM社の製品のとあるfeatureについてのcase studyで、user engagementに関してこういう現象が見られた時にどういう原因が考えられるか、というような質問でした。
webinarで教えられた通りに(笑)いくつかclarifying questionをしたのですが如何せんそのfeatureがどういう風に動くのかの知識がなくて、一方でinterviewerはそんなことは常識だという姿勢で話すので、なんだかずっと会話が噛み合いませんでした。
それが原因かはわかりませんが、そのままrejectになります。結局のところ僕はM社の製品が(特に最近は)好きじゃないし、これもまた今と同じProduct Data Scientistのポジションだったので、うまく行かなかったのも当然で、それで良かったのかなとも思います。
Onsite2社目: F社
- 2024/10/15 Recruiter
- 2024/10/25 HM
- 2024/10/28 Tech screen
- 2024/11/02 Homework
- 2024/11/12 Recruiter
- 2024/11/13 HM
────> 2024/11/19 Rejected
F社はFintechの会社で、LinkedInで応募したらすぐにリクルーターから連絡が来ました。僕は聞いたことがなかったのですが、実は銀行やカード会社の内部的にはかなり広く使われているとか。Fraud detectionのチームのSenior DSのポジションです。
リクルーターがhiring managerとのinterviewを設定してくれて初めて気づいたのですが、HMが見覚えのある名前でした。前の会社でdata scientistをやっていた人で、直接やりとりはなかったものの名前は見たことがありました。向こうも一応僕の名前に見覚えがあったとのこと。
そのHMとのinterview。probability, Bayes theorem, experimentationなんかに関する細かい問題をたくさん聞いてくる形式でした。が、いろいろとボロが出ます。こういうのは新卒の学生さんの方が圧倒的に有利です。
この時点でダメかなと思ったのですが、次のtech screenへ。Codingですが、pandasでこれも苦戦しました。rolling()なんか使ったことないです。
またダメだと思ったのですが、なぜか次のステップへ。今度はhomeworkで、4時間でKaggleっぽいfraud detectionの問題を解く形式です。これもまたかなり苦労して、SMOTEを使えばいいんかなと思いつつもうまく行かなくて、などあって不完全なままでtime upになってしまいます。
また(略)ですが、"you did well"とのことで最後のステップへ。再度HMですが、今度はbehavioralです。この一年の仕事はproduct teamとかなり密に働いてきたので、2023年の時と違ってbehavioralで話すエピソードには事欠かない、ということで、かなりスムースに進んだと思います。
最後のinterviewが良かったのでオファー来るかもと思いましたがreject。結局のところ、今までの「ダメだと思った」部分はやっぱり当然ダメで、だけど最後まで一応見てから決めたというだけのことなのだと思います。
Onsite3社目: U社
- 2024/10/15 Recruiter
- 2024/10/24 Tech screen 1
- 2024/10/31 Tech screen 2
- 2024/11/18 Onsite 1
- Behavioral
- Analytical case study
- 2024/11/18 Onsite 2
- Coding
- Bar raiser
- 2024/11/21 HM
────> 2024/11/22 Offer
U社は前職の競合他社です。LinkedInを見ているとたまたま、前職で少し一緒に仕事をした元同僚がU社でdata science managerになったというポストをしているのを見かけました。メンバー募集中と書いていたので、メッセージを送ってみるとぜひ応募してほしいとのことで、そのまま応募しました。
ですがその彼は僕が応募した直後から数週間のpaternity leaveに入るとのこと。
Onsite前にtech screenが二つ、AタイプとBタイプがあります。リクルーターからそれぞれの内容とともに、最初はBで次がAと聞いていたのですが、いざ始まってみるとどうやらAタイプ。まあいいです、と言ってそのまま終え、その後リクルーターにメールで事情を説明したけど、二つ目のtech screenが始まるとやっぱり反対のタイプです。
そんなことはありましたが無事にonsiteへ。忙しかったのであまり記録を取っていなくて細かい内容は忘れてしまいましたが、前職で馴染みのあるproblem spaceということで、case studyではこういう状況でどういう課題があるか、みたいな質問に対してある程度的確なことは言えたと思います。
ちょうどonsiteの直後にHMがpaternity leaveから戻ったということで、彼とのcallがスケジュールされました。ちょうどシアトル地方で大きなstormのために広範囲で停電していた時で、我が家も停電していたので子供のアパートを使わせてもらったのを覚えています。
彼はこの時点ではオファーを出すとも出さないとも言わないのですが、チームはこういうことをやっていて今のfocusはこれで、みたいな話を説明してくれました。彼の意図は、仕事の内容が僕の期待に沿っているかどうかを確認したい、とのことでしたが、自分はオファーが出るかどうかばかり気になって正直あまり聞いてません(笑)。彼が前職とU社でどういう部分に違いを感じるか、みたいな質問をしました。
それで次の日に無事にオファーが届きます。
その後
U社のオファーは出たのですが、compensationが良くありません。これは2023年の時に前職からのreturn offerが出た時にも感じたことですが、(狭い意味での)この業界の給与水準は数年前に比べてかなり下がったという印象です。そして今の仕事は、仕事内容的にはあまり面白くないし会社には色々問題があるのですが、compensation的には悪くないので、このオファーだとかなり下がってしまうことになります。
自分としてはそれでも転職はしたいのですが、せめて今のcompensationに合わせてくれないと家族をconvinceできない、みたいなことを言って、これくらいでどうよというcounterofferを出しました。
かなりふっかけ気味のcounterofferだったので期待はしていなくて、実際にリクルーターからも「それは無理」と言われたのですが、それを踏まえて出てきたオファーで、最初から比べてかなり上げてくれて、これまでと同じくらいのcompensationになりました。
それは嬉しいことで、ふっかけてみて良かったのですが、同時に最初のオファーは何だったんだろうな、とやや複雑な気分でもあります。でもともかく納得のいく数字が出たのでオファーを受けると伝えて、転職活動2024は無事に終了です。
余談
オファーを受けたのが11月の終わり頃ですが、いつから移るのかを決める必要がありました。今の仕事はチームを移ったばかりでそんなに引き継ぐこともないので、何ならすぐに移ることもできたのですが、12月はもうほとんどホリデーでみんな大して仕事していないのでスタートは1月からが妥当。
一番「美しい」のは年末までで退職して年始からスタートです。でも今の仕事は年末に二週間近い休みがあるので、退職するとしたら休み前、休み後?という難しい問題が。
休み前に辞めてしまうと二週間分の給料が減る、ということで、一番損がないのは「休み前にtwo-week noticeを出して休み後に退職」です。実際にチームの同僚がこのやり方で退職しました。
ですが僕はそこまで会社を信用してません。というのも、アメリカで一番最初に働いた会社を辞める時に、二週間後に辞めますと言ったら一週間で辞めさせられて、一週間health insuranceのない状態になってしまったことがありました。その時には別の事情もあって、会社の立場としてはそうなった理由も理解できるのですが、いずれにしても僕が困ったのは事実で、それ以来、こういうことに関しては会社を信用しないことにしています。
今回の場合特に、休み前にRSUのvestがあったので、それ以前には絶対辞める話はできないし、年明けにFSA的な理由(詳細略)もあったので、それも確実にうまく行かせてからでないと辞める話はできない、ということで年明けしばらくしてからのtwo-week noticeとなりました。
さらに余談ですが、12月に同僚とランチを食べていて、その彼女が「Sが年明けに辞めるんだって」という話をしてきたのですが、僕は誰にも辞める話をしたくなかったので自分のことは言わずに「会社にしてみればこれから二週間の休みの間Sを雇っておく理由はないからすぐに切られるかもしれないのに、よくそこまで会社を信用できるねー」なんて話をしてました。年明けにtwo-week noticeを出して彼女にも辞める話を伝えた時に、「だからあの時そう言ってたのか」と言われました。シアトルのチームメンバーは去年のある時点では6人いたのですが、僕が今回辞めて2人にまで減ってしまって寂しいとも。
終わりに
そういうわけで、期せずしてまた転職することになった話でした。もういい加減お年頃でもあるので落ち着きたい気持ちもありますが、一方で良い環境を求めて動けるように自分の価値を高め続けていきたいものだなと感じた次第です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。またこの場を借りて、今回の転職活動に関して協力いただいた皆様に感謝します。