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犬と私の不穏な関係
顔の位置はそのままに眼球だけをこちらに向けて警戒しながらもその心は悟られないようにしている。
無表情な笑みを貼り付けた顔の下では、怯えや戸惑いに近い感情が暴発しないよう押さえ込んではいるが、ときどき脊髄反射的に身体をビクつかせて先の先を取ろうとしてはそれが勘違いに終わってを繰り返す。
確実でないから困るんだ。
叩いたり噛み付いたりしてくれれば何の迷いもなく嫌いになれるのに。
殺意を持っていたとしても、そのアクションに殺意を盛り込んでこないから困るのだ。
何なんだコイツは?
コイツは殺意を持っているのかもしれない。そう信じてみても、触れ合っている肉体は愛を勝手に少し感じてしまっている。
そういう関係性に犬と私は困惑していた。