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夜行観覧車 読了

夜行観覧車/湊かなえ
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一度乗ったら一周が終わるまで降りることができない観覧車。
行く当てがあるわけではない、気づいたら乗っていた。家族が死んでも、降りて上がって回っていくしかない。

最初登場人物たちのことが苦手だった。
自分のことしか考えず保身に走ったり。自分の居場所を守りたいがために他人を、家族を平気で傷つけたり。

けれど見えていたのは自分ではなくて、何も知らない、誰かも分からない他人の目線だったのかもしれない。
互いに傷つけて傷つけて。傷つけていたのは家族で、そこにいたのも家族だった。

観覧車の一周が終わって、降りた後の見えた景色が、隣にいる人の顔が、乗る前と違っていたらいい。
それが残酷でも、美しくても、悲しくてどうしようもなくても、家族が人殺しでも。
家族で生きていくしかない。

そんな小説だった。

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