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事業の数字を見る(2)
あめにきのオフィスのnoteでは、スタッフが仕事をしてきたうえで気がついたことを、書いていきます。
7月は隔週(別の記事と交互)で、月曜日に更新する予定です。
試算表を作る
試算表(合計残高試算表)は、1か月単位で作成する貸借対照表と損益計算書です。
これを作成することで、売上や経費の増減、手持ち現金の状況などを把握することができます。
試算表は、税理士が作成していることも多いのですが、しかしやはり、それに目を通さない経営者が多いです。
目を通さない理由は、前回も書いた通り、「数字を眺めても売上が増えるわけではない」、そんなヒマがあったら、製造業務や営業業務に時間を割きたい」というものです。
これは確かに一理あるのですが、世の中の個人事業主や中小企業社長はやはり、あともう少しだけ数字と向き合うようにしたいところです。
試算表程度の数字が頭に入っていないと、どうしても、あいまいな印象で経営判断することになってしまうのです。
大して増えてもいない売り上げを、急増していると思い込んで、見当違いな主力商品に仕立て上げようとしたり、また、大して増えてもいない経費を、増えていると思い込んで、無理な経費削減をしようとしてしまうのです。
ここで、経費削減はいいことなんだから試算表の数字にかかわらず、進めていけばいいじゃないか、と思うかもしれません。しかし、自分の体重や代謝を知らずに減量をしようとするのが危ないのと同様に、会社の状況を知らずに経費削減することは危険なのです。
家計と異なり、事業では、経費は売上のための必要投資という側面があります。
家計では、経費は削れば削るほど(生活は面白くなくなるかもしれませんが)現金が増えていくものです。経費と収入の関係が薄いからです。
しかし事業では、経費を削ってしまうと売上減少に直結してしまいます。
ここで「明らかなムダ、みたいなものはドンドン削ればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、経費を削ろうとすること自体が、職場環境の悪化を招いてしまいます。
「鉛筆一本も会社の資産、無駄にするなかれ」というのは正しいのですが、しかし、売上増をめざしてがんばって成果を上げようとしている従業員に対して、経費の面での指摘を繰り返してしまうと、「そういう点が会社の評価要素なのか」と意欲を下げることになってしまいます。
話を戻します。
試算表を作る際には、ぜひ目標を決めておきたいところです。
全部の数値項目を改善するのは難しいですが、まず大きな目標、たとえば売上を増やそうとか、黒字化しようとか、そういう目標を立ててみます。
そして売上を増やすのであれば、純売上を上げるか(客を増やす)、売上原価を上げるか(仕入れ額を増やす)、原価率を下げるか。
さらに、そのための行動は、広告の強化か、従業員の賃上げか。
ここで、広告費削減や人件費削減という行動については、どうでしょうか。
これらの行動は「(純)利益の増加」が目標であれば、プラスの結果をもたらすので良いのですが、「売上増」が目標であれば、逆効果になることが多くなります。
というわけで、目標は、あれもこれもと全部の数値項目を改善しようとすると、行動のプラスマイナスが矛盾となってしまって難しくなります。一点突破で明快な目標のほうが、その後の振り返り点検もしやすくていいかな、と思います。
売上増みたいな単純な目標ですと、月末に「もっと関係先に頭を下げたほうがよかったな」「せっかくの懇親会で雑談ばかりしてしまったな」などと、反省も具体的になります。
そして、なによりも、自分で目標を立てる、というのがいいのです。
だいたい、税理士やコンサルというものはしょせん他人です。売上が低いなどと他人に言われるとカチンとくるかもしれませんが、自分で決めると納得できるものです。
つづく。
*個人事業主や法人成り会社あたりの規模の経営者の方は、労務・広告・法務・経理、さまざまなサポートについて迷うこともあると思います。
ぜひ、「あめにきのオフィス」にご相談ください。(このnoteを書く最大の目的は、もちろん広告です。)