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スクラップアンドスクラップ

 2024年10月22日

 昨日の夜,自転車のスタンドがぜんっぜん言うことを聞かなかった.蹴ってスタンドをガンと上げるとすぐにガンと下がる.ガガン…ガガン…ガガン.ガガン…ガガン…ガガン.ばかたれもうそっちが折れてくれ.どうしようもなく腹が立ってきて,こうなりゃ根競べじゃ,お前がその気ならこっちもやってやらぁ,幸いこの後何もないのだから.

 ガガン…ガガン…ガガン…僕が優しく蹴ればいいだけの話なのだが,今さら引けるわけもなく…ガガン…ガガン…ガガン.僕は株をやらない方がいい,損切りができないから.


 僕は少し短気である.その,もちろん,人前には見せないし,理不尽な怒りや八つ当たりとかは絶対したくない.そんなやつは許せない.自分の情動を押さえられない人にはなりたくない.

 しかし,この場合の自転車のスタンドは,今まで蹴ってもすぐにガンと上がっていたはずなのに,今日突然上がらないから,もう明らかに自転車がふてくされているとしか思えない.この自転車,今年の夏に買ったやつだし,劣化しているという言い訳も通らないと思う.納得できないことは納得したくない.

 うーん,物相手に大人げなく,いやいや人間扱いしているこっちの方が本当に優しいだろと考えながら,ガガン…ガガン...ガガン...,たまたま劣化したタイミングが今日なのかもしれないと思う頃には,振り上げた足裏をどこに降ろせばいいか分からず,さむいさむい夜更けに一人,自転車と格闘する.


 もちろんこんなことは,自分が一人の時だけにしかやらない.家族にも見せない.そんなことココに書いていいのだろうか.

 でも,誰もいないから赤い実を見た時に「赤い実ぃ」と言えるし,美味しそうなご飯が作れた時は,「幸せなら手を叩こう」と口ずさんで,さるのおもちゃみたいにこれでもかこれでもかとめっちゃ手を叩く.

 大丈夫だろうだろうか僕は.こんなに人に見せたくないことがあって,僕は生きていけるのだろうか.チラ見せの不安.


 最近,自分の文章がどうにも堅苦しくて,誰に気を遣っているのか,なんで自分を偽っているようなことを書いているのか,ともう頭がむかーっとなって,超えていく閾値.たぶん理想の文章や描き方があって,そこに落とし込もうとしているから,自分でも書いていて渋い顔,だがこれ,勝手に一人でぐるぐるその場で回っているだけ,お前次第じゃないかと思ったので,ちょっとテイストを変えてみようという所存である.

 もう自分を偽らない.いやあの,なんもかんも素っ裸でばんばらばんらば書くのは違うと思っているから,その限度を見定めて書くことは承知している.僕はいろんなものからほど遠いから,とりあえず面白そうだと思うものを,そのままを書こうと思う.


 そもそもよう,なんで自分が考えだした答え(ここでいうと自分の書いた文章)を即座に不正解だと思うのか.それに嫌気が差した.お前が考えて出した答えなんだから,お前さんにとっては間違ってないだろう.それともなにか,間違いだと思って答えを出したのか,違うだろうよ.

 結果的に間違うことはあるだろうけど,そうじゃないのにすぐさま勝手に間違いだと思って,別の答えを正解だと思って,はあ自分はなんて思慮が浅いのだろう才が無いのだろうとぷりぷり思って,たぶんだけどさ,その別の答えを出していたら出していたで,お前さんはきっと不正解だと思っていたよ.

 だから,しばらくは少々乱暴な文章になるかもしれないが,全開で発散させて,調節してみる.


 近くの街路樹がなんと金木犀だった.まじかよ,誰が考えたんだナイスアイデェアだよ.街路樹っていうとケヤキやプラタナスが安牌だと思っていたが,どこぞの誰かが英断を下したか.素晴らしい.フォルティシモ金木犀通りと名付ける.いえい.


 三点倒立でタピオカミルクティーを飲むことが出来た.でも,人に見せるほどではない.何も面白くないのだ,それはすごく悲しいことだ.


 胡乱ってうろんと読む.メロンみたい.なんでだろうな漢字からキュウリを想像しちゃうんだよなと思っていたら,キュウリは胡瓜と書くと知り,ああ確かにそんな字だったと合点.ウリ科だから余計メロン,メロン.

 メロンを食べると口周りがかゆくなる,そぉれはそぉれは恐ろしい痒み.タオルでゴシッと拭いたれとこれでもかと拭く.でも,美味しいから食べてしまうのである.メロン.胡乱なメロン.メロンな胡乱.かゆい.



 さあて,もうねるぞ.寝るったら寝る.夜の部屋の中が青いと感じる時は,感傷的になっている証拠なので,そうは問屋が卸さないということで,ぐっと目をつぶろうと思う.

 僕は湧き上がる感傷を否定したいのではなく,乱暴な感傷,つまり感傷的になることが目的になった感傷を否定したい.それはひどくひどく腹が立つ.でも,それは昔の自分でもある.だから,上等だ,とことん付き合ってやると全身で決意をする.







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