「CDを買う」ということ
◼️『TWO MOON』(TOMOO)
少し前のことになってしまったが、久しぶりにCDを買った。
それがTOMOOさんの『TWO MOON』である。
僕は普段Spotifyで音楽を聴いている。
大抵は通勤の車の中でスマホをBluetoothで繋げて。MIXが便利で、自分のお気に入りにいれている曲とそれとテイストが似た曲をセレクトしてくれるので、大抵はそれを聴いている。
それでTOMOOさんの「夢はさめても」を聴いて「曲、声、かっこよー!」となってTOMOOさんのいろんな曲を聴くようになり、firstメジャーアルバムが発売されるということを知る。
本題はここからなのである。
◼️CDを買うのか会議
実は、アルバムが出てから買うまではスムーズではなかった。
それは物理的な問題でも金銭的な問題でもなく、精神的な問題である。
アルバムに入っている曲はすべてSpotifyで聴けるし、プレミアムプランなので好きな曲を選んで聴くこともできる。
それでもCDを買う必要はあるのか?
僕は人並みにお金を使うが人並みにケチでもある。
うーん、確かに一理ある。まあ、それでもDVD付きを買えばSpotifyにはない要素だし。
いや、正直みないでしょ。
うーん、確かに…。でも歌詞カード読むのも魅力的やん。
いや、それ、「silent」で紬(川口春奈さん)が言ってたやつやろ。自分、歌詞カード1回くらいしかみないでしょ。
ばれたか…。
と、自分のなかで会議をしてみたが、どう頑張ったところでCDを買う側が圧倒的不利なのである。
しかし待て。こうともいえる。
こんなに圧倒的不利な状況にも関わらず買いたい自分がいるということは、これはもう相当買いたいんではないか、と。
そういうわけで、なんとか、CDを買うことができた。一応DVD付きにしてみた。
◼️CDを買うこと
高校生のとき、小遣いをやりくりして、インディーズバンドのCDを買った。それらのCDはブックマートという最寄りのレンタルショップにはなかったのである。
僕はMDやSDに曲を入れて通学バスで聴いていて、そのMDのなかには、ブックマートでレンタルしたゆずやスピッツも、自分で買ったもう解散してしまったバンドといっしょくたになっていたけど、やっぱりCDが家にあるものは特別だったように思う。自分の部屋の棚に並んでいるメンバーはなんというかファミリーみたいな感じがするのである。何もそれはインディーズバンドばかりたったからではないと思う。
大学生になってからよく通った渋谷のTSUTAYAでは大体のCDがレンタルできたけど、それでも買いたいサンボマスターの「きみのためにつよくなりたい」があったり、高橋優の「僕の声」があったり、back numberの「ラブストーリー」があったのである。
所有欲と言えるかもしれないけど、そういう言葉ではなんとなく、くくりたくない感情がそこにはあって、
あえて言語化するなら「ぜひ持っておきたいっていう感情」的なものがそこにはあった。
◼️そういう感情
CDは売れなくなっているという。
それはそうだと思う。私もサブスクリプションのヘビーユーザーだから、よくわかる。Spotifyで聴けない曲ならまだしも、あるいは特別な特典があるならまだしも、いつでも聴けるのに、わざわざお金を払ってCDを買う人いるのか?と思う自分もいる。
そういや、実家に帰って自分の部屋だったところの棚をみたら、いまだCDが並んでいる。友達による借りパクや金欠による売却から生き延びた奴らである。1枚1枚に自分の歴史(白も黒も)がある。自分の棚は年表である。
正直なところ、まだ僕はCDを気楽に買える人間ではない。自分会議をして、見送ることのほうが圧倒的に多い。逆に悩んだ末に買ったCDは、僕の歴史の一部になっていると思う。音楽業界を憂えるくせに、ケチな自分を弁解して、ホント嫌になるけど、特別なものを特別扱いできる自分ではいようと思う。