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飴村玉井
2024年7月21日 22:36
あくる日、俺は同級生のお兄さんというほぼ他人と言って差し支えない相手と共に、以前彼の弟である針間勇次郎と訪れたことのある廃ビルへ来ていた。だだっ広い、一面の更地の真ん中にぽつんと建つ洒落たデザインのビルディングは何度見ても異様だ。現在時刻が昼日中なのが唯一の安心材料かもしれない。前みたいに草木も眠る丑三つ時に連れてこられていたら泣いて嫌がった自信がある。その同行者、針間纏はやはり平然としていた。